うわぁ! フランシス・ベーコン(Francis Bacon、1909 - 1992) の映像もいろいろあるじゃないか。大感激だ!
A collection of paintings by Francis Bacon.
獣肉に憐れみを! 獣肉がベーコンの憐憫の情の最高の対象であるということ、憐憫の情の唯一の対象であること、アングロ系アイルランド人としての彼の憐憫の情であることに疑いはない。そしてこの点に関して、事情はユダヤ人のあの無限の憐憫の情をもったスーチンの場合と同様である。
獣肉は死せる人肉ではない。それはあらゆる苦痛をなお保持し、生ける人肉のあらゆる色艶を自らの内に引き継いでいる。なんと多くの痙攣する苦痛、傷つきやすさか。しかしまたそれでいて、かくも多くのすばらしい創意、色彩そして軽業的にまで高度な表現よ。
ベーコンは「獣たちに憐れみを」とは言わない。それどころかむしろ、苦悩する人はすべて獣肉をもつと言う。
獣肉は人と獣の共有地帯であり、両者の識別不可能な地帯である。それは画家が自らの恐怖と同情の対象に一体化する際のあの「行為」であり、その状態そのものである。画家ベーコンは確かに肉屋である。しかも彼は、教会にいるごとく肉屋にいる。
ジル・ドゥルーズ『感覚の論理 画家フランシス・ベーコン論』(山県煕 訳、法政大学出版局) p.24
Francis Bacon, a Requiem
目らしきもの、口らしきもの、腕らしきものが識別できなくもない、融解したいやらしい肉塊──。
フランシス・ベイコンの偏奇人体が与える印象は、白人のくんにゃりと柔らかい男根の手触りと色彩だ。ベイコンは自らのゲイ・セクシュアリティを、ロートレアモン『マルドロールの歌』にはじまるゲイ文学の脅迫的な肉片詩の系譜、切断的性欲の系譜で露出した。
ぼくにわかったのは、若者が彼の手にとどくところまでやってくるとすぐ、肉の断片がベッドの腕もとに落ちてきて、ぼくの近くまで転がってきたことだけだ。それらの肉のきれはしたちは、おそろしく小声で、ぼくの主人の爪が青年の肩から、自分たちをひきはがしたのだと語ってくれた。*1
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Francis Bacon A Terrible Beauty
F・Bのアトリエ。
その常軌を逸した乱雑ぶりを知らぬ者はいない。空襲で瓦礫の山と化したかのような、手のつけようもない惨状。
だがそこに絶望と破壊の微だけを見てとるのは性急にすぎる。平然とその只中に陣取って次から次にあきれるような大作を生み出していくF・B。彼を包む空気は、むしろ、やけくその明るさに満ちていると言うべきだろう。最大の破壊と最大の創造がひとつになっているという、この爽快な逆説。
Francis Bacon. Spuren im Atelier des Kuenstlers
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Francis Bacon
ベイコンは、もっと若かったら映画監督になりたい、とインタビューでもらしたことがあるが、ベルトリッチからリンチにいたる、ベイコンにインスピレーションを得た監督群のなかで、また彼の絵画にインスピレーションを与えたエイゼンシュタインなどを含めて、ベイコンは誰の作品に自分を見るのだろうか?
エイゼンシュテインの「ゲイネス」については id:Ry0TA さんの素晴らしいエントリー「マリュータはこんなにでかかった」を参照のこと。
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