メンデルスゾーンのチェロソナタ第2番、ブリテンのチェロソナタ&フランクのヴァイオリン・ソナタのチェロ版でCDデビューした石坂団十郎(Danjulo Ishizaka)。2001年のARDミュンヘン国際音楽コンクールで優勝したドイツの俊英である。
- アーティスト: 石坂団十郎,フランク,メンデルスゾーン,ブリテン,ヘルムチェン(マルティン)
- 出版社/メーカー: ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル
- 発売日: 2005/11/23
- メディア: CD
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ソニー・クラシカルの石坂団十郎公式サイト のプロフィールにあるように、この日本的な名前を持つチェリストは、日本人を父、ドイツ人を母として1978年ドイツのボンに生まれた。4歳よりチェロを始めた石坂は──4歳児にとってチェロはどれほど巨大な物体だろうか、弓はどれほど重いだろう、弦はどれほど太いだろう──第1回若い音楽家のためのチャイコフスキー国際コンクール(モスクワ)、カサド国際チェロ・コンクール(スペイン)、ルトスワフスキー国際チェロ・コンクール(ワルシャワ)、レナード・ローズ国際コンクール(ワシントン)、エマヌエル・フォイアーマン大賞コンクール(ベルリン)と世界中のコンクールを「荒らし」てきた。
『レコード芸術』(2005年12月号)に石坂団十郎のインタビューが載っているが、そこで彼はコンクールについて「ソリストとしての可能性を知りたかった」「コンクールは発掘される機会を与えてくれる」「コンクールを経験すると緊張感に対処する術も学べる」と気骨ある発言をしている。もっともコンクールという「競争」は音楽の本質とは関係ないことだと思う、と付け加えているが。
この日系のコンクール覇者について、俵孝太郎はタワーレコードの『intoxicate vol.60』のコラム「クラシックな人々」で触れている。曰く、団十郎の弟がキヨンド(清人?)あることから、
いずれにせよわが子に珍奇な名前をつける親が多い昨今、男児二人に純日本的かつ古風な命名をしたところに、在外邦人の気骨が感じられる
と。
一方『レコード芸術』のインタビューに戻ると、「自分の意識としては、あなたはドイツ人、日本人、国際人、その全部でしょうか」という質問に対して、石坂団十郎本人は以下のように応える。
ええ、3つともです。どこへ行っても「外人」ですから(笑い)。アメリカに住んでいたら別でしょうけど……。
アメリカは本当に文化、人種のるつぼみたいなところですからね。ドイツや日本はまだそこまでいっていなくて、どこか違いますね。僕も自分の身ぶりなどは日本的でないところもあります。真似しようとしてもできない。それでいて英語で話かけれられたりする。ドイツでも同じで、よく「ドイツ語うまいですね」と言われてしまうんです(笑い)。
しかも漢字で自分の名前が書けるように努力しています、と笑わせる。やはり気骨のある人物だ。
ちなみに石坂団十郎の愛用しているチェロは、日本音楽財団から貸与されたストラディヴァリ「ロード・アイレスフォード」(Lord Aylesford)。グレゴール・ピアティゴルスキーやヤーノシュ・シュタルケルが使っていたものだ。
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