HODGE'S PARROT

はてなダイアリーから移行しました。まだ未整理中。

シャイー&ゲヴァントハウス管のシューマン交響曲全集マーラー版



Complete Symphonies: Mahler Edition

Complete Symphonies: Mahler Edition


リッカルド・シャイー指揮、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団によるシューマン交響曲全集。「売り」は何と言ってもグスタフ・マーラーが改変したエディションを採用していることだろう。
Symphonies 1-4 ただ、「マーラー版」と言っても、さほど違和感は感じなかった。良く言われているように、シューマンのオーケストラレーションには不備があり、マーラーを始めとする指揮者がスコアを改訂したということだが、クリストフ・フォン・ドホナーニ&クリーヴランド管弦楽団の演奏を聴く限り、そういった「問題」をこれまで意識したことがなかった。老練なヨーロッパの名指揮者と機能性抜群のアメリカのオーケストラによる演奏は、素晴らしく流麗かつ様々な音がひしめき合う刺激的なものだった。
このシャイー盤も、ドホナーニ盤に匹敵する素晴らしいものだ。まず、交響曲第2番ハ長調の第2楽章を聴く──オケの「性能」はこの楽章の如何による。いかにもシューマンらしい、弦楽器が目まぐるしい音形を鳴らしているのだが、その弦が汗水垂らしているのを他所に、木管がピコピコと可愛らしく響く。それがとても面白くて、いい。

第3番変ホ長調「ライン」は「マーラー版」を一番感じさせる。音に厚みがあるし、管楽器が堂々と鳴るのが、ご機嫌だ。第1番、4番もメリハリがあって聴かせる。

というわけで、このシャイーのディスクはお奨めなのだが、ただ、「売り方」に問題があったらしく、一部の人には心証が悪くなってしまったようだ。たとえどんなに優れた演奏であっても、「売り方」に問題があると、素直に首肯できない、というのは絶対にあるだろう。