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陸軍尋問官―テロリストとの心理戦争



陸軍尋問官―テロリストとの心理戦争

陸軍尋問官―テロリストとの心理戦争


この米陸軍尋問官クリス・マッケイと『ロサンゼルス・タイムズ』の記者グレッグ・ミラーの共著は、出たばかり頃読み始めたのだが、ちょっと期待していた内容と違っていたので、途中で投げ出してしまったのだった。尋問官を志願したマッケイの「修行時代」を含むエピソードは、それなりに興味深く、実際の捕虜に対する尋問──情報引き出し──も生々しい。
だが、(期待していた)心理学用語が頻出する「高度な」「歯応えのある」情報戦術解説本とは違い──といっても全部読んでいないのだが──そこが物足りなく思った……そういえば以前、海兵隊方式を採用したビジネス書を読んだことがあるな、と。

ただ「CIA のマニュアル」について書かれていたことを思い出した。

人を欺こうとするときの、言葉にならないシグナルを解読しようと、情報機関はこの何十年間、研究を続けてきた。そして1963年CIAは『クバーク防諜尋問』というマニュアルを製作し、三十年後の97年1月にそれは公開された。
このマニュアル(「クバーク」とはエージェントのコードネーム)には、騙した場合には身体に現れる徴候をリストアップしてある。
「顔に血がのぼりほてるのは、怒りか当惑の徴候(シグナル)……冷たい汗は恐怖かショックの顕著なサインである……顔が青ざめれば恐怖であり、尋問官に真実をつかれたことを示している……ちょっとあえぐとか息をつめる、あるいは声が動揺すれば、思わず事実をもたらしてしまったことを表しているのかもしれない」


ようするに人の身体は、「精神の緊張を示す肉体的なイメージ」であることが多い。
この『クバークマニュアル』は表情やボディランゲージの解読研究が進んだ時代にまとめられた。それは「動作学」(キネシクス)と呼ばれ、身振り・手振り・目の動き・表情などの身体動作とその意味、伝達機能を体系的に研究する。



(中略)


ぼくたちが求めているものは、ストレスの徴候の場合が多い。身体に反応を引き起こすのは、嘘を言うという行為そのものではなく、不誠実な行為を働く際に覚える不安からである。




『陸軍尋問官』(中谷和男 訳、扶桑社) p.87-89


もちろん尋問官が最初に、徹底的に学ぶのが「ジュネーブ条約」であるのは言うまでもない……のだが。