エンリケ・グラナドスの≪ゴイェスカス≫は、スペイン音楽の精華のような作品で、そのほの暗いロマンティシズムがたまらない。画家フランシスコ・デ・ゴヤの絵画にインスピレーションを得たこのピアノ曲は、(言うまでもなく)アリシア・デ・ラローチャの演奏を愛聴している。
この≪ゴイェスカス──恋をするマホたち≫を、3つのギターのために編曲したディスクがナクソクから出た。クリストフ・デジュール率いるトリオ・カンパネラ(Trio Campanella)の演奏だ。
- アーティスト: Granados,Trio Campanella
- 出版社/メーカー: Naxos
- 発売日: 2006/10/31
- メディア: CD
- 購入: 1人 クリック: 4回
- この商品を含むブログ (2件) を見る
スペインの音楽だから、というわけではないが、なかなか聴かせる演奏だ。「ともしびのファンダンゴ」は、情熱的で躍動するリズムが魅力的だし、「嘆き、またはマハとナイチンゲール」の美しく陰影に富んだ情緒を表現するのに、ギターの音色は似つかわしい。爪弾きは、ため息のように響く。
それとグラナドスに関して記しておきたいことがある。彼は、第一次世界大戦中の1916年に亡くなっているのだが、これはオペラ≪ゴイェスカス≫の初演のためにニューヨークに訪れた帰路、ドイツ軍潜水艦Uボート(U-boat)による無差別攻撃(無制限潜水艦作戦)を受けたからだ。グラナドス夫妻の乗っていた船は沈没した。グラナドスも戦争の犠牲者なのである。第一次世界大戦において、スペインは中立国だったのに、だ。
「恋する若人たち、第1部」 Los majos enamorados, parte I :
- 愛の言葉 Los requiebros
- 窓辺の語らい Coloquio en la reja
- 燈し火のファンダンゴ El fandango de candil
- 嘆き、またはマハと夜鳴きうぐいす Quejas, o la maja y el ruiseñor
「恋する若人たち、第2部」 Los majos enamorados, parte II :
- 愛と死 El amor y la muerte
- 終曲〈幽霊のセレナード〉 Epilogo: Serenata del espectro