HODGE'S PARROT

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シャドー・オブ・タイム

id:hotsuma さん経由でトム・クルーズ vs 米国精神医学会関連の記事を読んで。(http://d.hatena.ne.jp/hotsuma/20050703#p5http://d.hatena.ne.jp/hotsuma/20050628#p2)

先日のエントリーで、米国精神医学会(American Psychiatric Association)が同性婚を支持することを書いた。
その米国精神医学会のサイトを見ると、下部組織としてゲイ・レズビアン精神科医団体へのリンクがある。

また同性婚への支持は、米国心理学会(American Psychological Association)も行っていて、そのサイトには「Being Gay Is Just as Healthy as Being Straight」という学会の見解も示されている。


しかし、精神分析はどうなのか。もっと言えば、日本における精神分析についてである。
というのも、最近、岩波書店から「新刊として」出たラカンセミネールが、同性愛を──何の留保もなしに──「倒錯」という<差別語>を使って説明し、しかも内容も差別と偏見に塗れたものだからだ。しかもそれに対するフォローを岩波書店側が一切何もしていないのだ。

(このことについては、ここでも、ここでも触れた)

人権を重んじるはずの(と僕は思っていたのだが)岩波書店は、なぜ、50年も前の「(精神)科学」の「教科書/セミナール」を、この時期に、「新刊として」出版するのだろう。なにか政治的な意図でもあるのだろうか。
例えば、ナチス時代のユダヤ人に関する「差別と偏見に満ちた」本を「古典として」出版するならば、なにかしらフォローがあってしかるべきだ。それは日本の戦前の「史観」においても同様だろう。

もし、50年も前の「精神科学」の本を「新刊として」出版するならば、昨今の米国精神医学会や米国心理学会の見解、そしてフランスを始めとするヨーロッパ各国における人権の捉え方を踏まえて、何かしらフォローすべきではないだろうか。