HODGE'S PARROT

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スーパーナチュラル「悪夢のはじまり」



読書の最大の敵は、目下、海外ドラマなのだが、またセットで購入してしまった。
ジェンセン・アクレス/Jensen Ackles とジャレッド・パダレッキ/Jared Padalecki のコンビのアクションが痛快なゴースト・ストーリー、『スーパーナチュラル』だ。

スーパーナチュラル 1stシーズン 前半セット(1?11話収録) [DVD]

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これはいちおう一話完結なので──監督と脚本家もそれぞれ異なっている──感想を書こうと思う。
第一話は「悪夢のはじまり」で、ディーン(ジェンセン・アクレス)とサム(ジャレッド・パダレッキ)の兄弟が、妻(兄弟にとっては母親)の不可解な死を追う父親に倣って「超常現象」(スーパーナチュラル)に挑む、というもの。
この第一話では「白衣の女」という、いかにも西洋的な幽霊が合理主義の現代アメリカに登場する。この「荒唐無稽さ」が、実に愉しい。ぜんぜん怖くない。幽霊に銃弾をぶっ放すのもお約束──すでに死んでる幽霊には効き目がない。が、テンポの良さとユーモア、イケメン=アクレスのアクション・シーンからは目が放せない。

Supernatural: Nevermore (Supernatural Series)

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まだ第一話しか観ていないので何ともいえないが、もしかすると、ピーター・ストラウブの『ゴースト・ストーリー』*1のように怪奇・幽霊物語の百科全書のようになるのではないか、と期待している。

個人的にちょっと面白かったのが、ディーンが「今どき」カセットテープに「懐メロ」を溜め込んでいて弟のサムから冷ややかな視線を浴びるところ。天才的な妖怪ハンターながら実に愛すべきキャラクターだ、ディーンは。
Wikiquote には(やはり)その場面が掲載されている

Sam: Dude, you gotta update your cassette tape collection.
Dean: Why?
Sam: Well, for one, they're cassette tapes. And two, Black Sabbath, Motorhead, Metallica?! It's the greatest hits of mullet rock.
Dean: House rules, Sammy. Driver picks the music; shotgun shuts his cake hole.
Sam: You know, Sammy is a chubby twelve-year-old. It's Sam, okay?
Dean: Sorry, can't hear you. The music's too loud.

Heaven & Hell

Heaven & Hell

No Remorse

No Remorse

Kill Em All

Kill Em All



[Supernatural]

*1:訳者の若島正による解説を見たら、スティーヴン・キングの評論集『死の舞踏』で論じられている「キング版モダン・ホラー十作のようなリスト」があった。私家版流行なので記しておきたい。
ピーター・ストラウブ『ゴースト・ストーリー』
アン・リヴァース・シドンズ『隣の家』
シャーリイ・ジャクスン『山荘奇談』(『たたり』)
アイラ・レヴィンローズマリーの赤ちゃん
ジャック・フィニイ『盗まれた街』
レイ・ブラッドベリ『何かが道をやってくる』
リチャード・マシスン『縮みゆく人間』
ラムジー・キャンベル『母親を喰った人形』
ジェームズ・ハーバート『霧』
ハーラン・エリスン『奇妙なワイン』

「わたしは二度と帰れない」 A.E.ハウスマン



イギリスの詩人 A.E.ハウスマン(A. E. Housman、 1859 – 1936)の連作詩集『シュロップシャーの若者』(A Shropshire Lad)を知ったのは、マーガレット・ミラーの『殺す風』に引用された『Into my heart an air that kills』という詩であった。この短い詩に魅了された。

わたしの心に、殺す風が
遠くの国から吹いてくる。
なんだろう、あの思い出の青い丘、
あの塔は、あの農園は?


あれは失したやすらぎの国、
それがくっきりと光って見える。
倖せな街道を歩いて行った
わたしは二度と帰れない。





小笠原豊樹岩田宏) 訳
マーガレット・ミラー『殺す風』(ハヤカワ文庫)より


いちおう原文も記しておこう。

Into my heart an air that kills
From yon far country blows:
What are those blue remembered hills,
What spires, what farms are those?


That is the land of lost content,
I see it shining plain,
The happy highways where I went
And cannot come again.





http://www.gutenberg.org/dirs/etext04/shrps10.txt


上記イラストは、Agnes Miller Parker(1895 - 1980)による。

「あなたには友達がいるでしょう」
「ロンや、ハリーの友達はいるわ。でも私の友達は一人もいない」



(中略)


「さっき言った通り、ハリーはその気でいます。彼を過小評価してはいけませんよ。立派な男です、寛大な男です」
「ええ、わかっているわ。なつかしのハリーね。最後の一枚のシャツまで友達にくれてやる──でなきゃ、ポーカーの賭金代わりにくれてやる、そんな人よ。あの人は負け方が上手なのね。だからみんなにとても好かれるんじゃなくて? とてもやさしく、美しく負けるのよ。でも負けることに変わりはない。いつでも船に乗り遅れるのよ。どうしてかしら」
「その船でどこへも行きたくないからでしょう」





マーガレット・ミラー殺す風 (ハヤカワ・ミステリ文庫)』 p.216-217



シュロップシャーの若者』は、ジョージ・バターワースジョン・アイアランドサミュエル・バーバーといった作曲家によって音楽が付され、歌曲として歌われている。とくにハイペリオンから出ているCDはアラン・ベイツによる朗読も含まれた「完全版」で、まさしくグッジョブと呼ぶに相応しい。

Shropshire Lad

Shropshire Lad

  • アーティスト: C W Orr,E J Moeran,George Butterworth,John Ireland,Lennox Berkeley,Mervyn Horder,Samuel Barber,Graham Johnson,Anthony Rolfe Johnson
  • 出版社/メーカー: Hyperion UK
  • 発売日: 2001/12/11
  • メディア: CD
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