デンマークのコペンハーゲン郊外にある、グルントヴィークス教会(Grundtvigs Kirke)。パイプオルガンをモチーフにした独特の外観、ステンドグラスなどが一切使用されていないシンプルな内部空間は、それだけで完璧だった。
コペンハーゲン北郊の住宅地開発とともに、その中心施設として建設されたグルントヴィ教会は、デンマークの牧師であり教育者でもあったニコライ・グルントヴィ(1783-1872)*1を顕彰するためのものである。家具デザイナーとして知られるコーレ・クリント(1888-1954)*2の父 P.V.イェンセン=クリント(1853-1930)*3が1921年から心血を注いで取り組み、その死後はコーレが引き継ぎ1940年までに完成させた。なお、信者の座る椅子もコーレが担当した。
そのパイプオルガンのような形の印象的なファサードのために、よく知られた北欧建築の一つであろう。ヨーロッパの近代建築史のテキストにもしばしば取り上げられるが、その場合はこの教会を”表現主義建築”のひとつとして位置づけることが多いように思われる。ところが、北欧の近代建築史の文脈に置いてみれば、グルントヴィ教会は立派なナショナル・ロマンティシズム建築、つまりデンマークの過去を参照しつつ近代への適用をめざした建築なのである。
Flickr のグルントヴィークス教会の写真→
http://www.flickr.com/photos/hodge999/sets/72157628046920451/with/6361759087/
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