HODGE'S PARROT

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ロパルツ『レクイエム』 

HODGE2006-08-15

レコード芸術』(2005年10月号)の「特捜プロジェクト アニヴァーサリー作曲家2005」で相場ひろ氏が紹介していたジョセフ=ギ・ロパルツの宗教音楽集を、先日タワーレコードで見つけ、購入。聴いた。
収録曲は、以下の三曲。

  • レクイエム(死者のためのミサ曲)/ Requiem (1938)
  • 詩篇第129番<深き淵より> / Psaume 129 "De Profundis" (1941)
  • 小ミサ曲 / Messe Breve "en l'honneur de Sainte Anne" (1921)


カトリーヌ・デュボスク(S)、ジャクリーヌ・メイユール(Ms)、ミシェル・ピクマル指揮イル・ド・フランス・ヴィクトリア地方cho、ジャン=ヴァルテル・オドリ合奏団。

Ropartz: Requiem/Psaume 129

Ropartz: Requiem/Psaume 129

  • アーティスト: Joseph Guy Ropartz,Michel Piquemal,Ile de France Vittoria Regional Choir
  • 出版社/メーカー: Accord
  • 発売日: 2002/06/17
  • メディア: CD
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なんといっても『レクイエム』である。そのあまりの美しさにため息が出る。なんて安らぎに満ちた静謐な音楽なんだろう。レクイエムでは、僕はモーリス・デュリュフレのものが一番好きなのだが、このロパルツの作品はそれに匹敵する感銘を与えてくれる。
とくに「アニュス・デイ」とそれに続く「リベラ・メ」の究極のリリシズム。「その音楽はひたすら内向し、沈潜して、作曲者の心の深みへと我々を導く」(相場ひろ)。


ジョセフ=ギイ・ロパルツ(Joseph-Guy Ropartz)は、1864年にフランスのブルターニュ地方で生まれ、1955年に亡くなった。詩人としても名を馳せ、ルイ・ティエルスランを中心としたグループ「現代ブルターニュ高踏派」に属し、三冊の詩集を上梓した。交響曲第三番(ミシェル・プラッソン指揮トゥールーズ・カピトール国立管弦楽団の演奏でEMIから国内盤も出ている)のテクストもロパルツ自身のものだ。
特筆すべきなのは、ロパルツがセザール・フランクを師に持ったということだろう。その絶妙な和声変化と精妙な音楽書法、内に秘めた情熱、息の長い旋律、厳粛さと同時に覗かせる官能性──例えば「ピエ・イエズ」──は「フランク党」ならではのものである。


[Joseph-Guy Ropartz]

このロパルツのレクイエムは有名なフォーレのものと同様(そしてデュリュフレと同様)、劇的な「セクエンツィア」(続唱、Seqentia)、 「ディエス・イレ」(怒りの日、Dies irae)を除外している。

  1. イントロイトゥス/入祭唱 (Introitus)
  2. キリエ/あわれみの賛歌(Kyrie)
  3. オッフェルトリウム/奉献唱 (Offertrium)
  4. サンクトゥス/感謝の賛歌(Sanctus)
  5. ピエ・イエズ/いつくしみ深きイエズス(Pie Jesu
  6. アニュス・デイ/平和の賛歌(Agnus Dei)
  7. リベラ・メ/われを解放したまえ(Libera Me)
  8. イン・パラディスム/楽園に(In Paradisum)


「死者のためのミサ」(Missa pro defunctis)は、「レクイエム」(安息を)という言葉で始まり、そして同じ言葉で終わる。

INTROIT


Requiem aeternam dona eis, Domine,
et lux perpetua luceat eis.


永遠の安息をかれらに与えたまえ、主よ、
そして絶えざる光がかれらの上を照らすように。

IN PARADISUM


Chorus Angelorum te suscipiat,
et cum Lazaro quondam paupere,
æternam habeas requiem.


天使たちの合唱があなたを出迎え、
かつて貧しかったラザロとともに、
永遠の安息を得られますように。