HODGE'S PARROT

はてなダイアリーから移行しました。まだ未整理中。

インリン様VSレイザーラモンHG

http://sports.yahoo.co.jp/hl?c=sports&d=20050923&a=20050923-00000007-sph-spo

ハードゲイお笑いタレント、レイザーラモンHGがプロレスデビューする「ハッスル・マニア」(11月3日、横浜アリーナ)で、インリン様と激突することが22日、決定した。

 プロレスデビューの相手がインリン様になってしまい、レイザーラモンは心底がっかりした。「ゴリゴリの男と戦って、欲求を満たしたい。シングルとは決まってないので、男子を入れて、5vs5ぐらいでやりたい」と男とのタッグ戦を熱望した。

世紀の対決が実現!インリン様VSレイザーラモンHG

また、会見後のカコミ取材でレイザーラモンHGは「シングルとは決まってません。ぜひ5対5のタッグマッチにして、男子をいっぱい入れて欲しい」と、女子&男子&ハードゲイによる混合タッグマッチを提案した。「上のほうに直談判する」と、やる気満々だ。
 さらにはキャプテン小川との“シゴキ合い”で、『HG三角固め』という新必殺技を編み出した事を明らかにした。これは正常位ポジションからの通常の三角絞めに加えて、股間を膨張させる事によってさらに面積を狭めるという技だ。「間違いなく心が折れる」とHG。

僕もゲイなので、インリン? Who? しかしどこかで聞いたような……と思っていたのだが……思い出した。””狼はただ一匹か数匹か?””で触れた pikarrrさんのエントリー”なぜ「コイズミ・オブ・ジョイトイ」なのか?”で、pikarrrさんが興味深い指摘をしていたのだった。

インリン・オブ・ジョイトイは、「ほんと馬鹿ですねぇ〜」。その存在からつっこみどころ満載ですね。「エロテロリストって!、エロで革命かよ!」はてなキーワードによると、インリン・オブ・ジョイトイの「ジョイトイ」とは、「JOYTOY人民革命。テーマはrelaxed sensuality=「常識や形式、習慣に囚われない官能性愛優先生活」。パロディと様式美としての<共産趣味アメリカン下品&謎の東洋美意識>に満ちたワイルドな宇宙の果てで、インリンは自らの多重人格的天地創造に、女王のように君臨し、奴隷のように貪り食われる。」らしいです。(爆


インリンやプロレスの面白さは、「ベタ」なところです。・・・ある対象を「ベタ」と名付け、呼ぶときに、・・・メタレベルに立って発言しています。本質的にはこのようなメタレベルの発言(まなざし)は権力構造の上になりたっているために、ボクたちは優越感を感じ、楽しいのです。


http://d.hatena.ne.jp/pikarrr/20050201

ところでレイザーラモン。時折──とくにゲイの一部から──批判もあるようだが、僕は、実は、彼を支持している。
だって筋肉質のいいカラダしてるし、ルックスもキュートだし、なんと言っても声がセクシー!!!

……真面目にやろう。

この(「真面目にやろう」という)スピーク・アクトを前にして、読者方は、このテクストの推定上の署名者が真面目になり始めるのはこれからで、哲学的な議論という名にふさわしい議論にようやく入る[s'engage]と信じてよいのだと思うかもしれない。ということは、彼がまだそうした議論に入っていなかったのだと認めつつ。


ジャック・デリダ有限責任会社』(高橋哲哉/増田一夫/宮崎裕助 訳、法政大学出版局

レイザーラモンの振る舞いが「様式美」かどうかは置いといて、彼には「ベタ」なところを感じる。他の「卑劣な」お笑いタレントがするような、自分たちはメタレベルに立って「同性愛を侮蔑する笑い/同性愛者を笑いの対象とすること」とは決定的に違う。彼こそが、「潔く」、お笑いの対象になっている──それを欲望している──ということだろうか。

つまり、同じく pikkarr さんのエントリー”なぜレイザーラモン住谷は「生き生き」なのか?”にもある「メタ無し」で「生き生き」と「ハードゲイであること」に同一化しようとしているのではないか。それはフーコーの言う「懸命にゲイにならなければならない」を実践しているのではないか、とさえ思う。
懸命に、ベタに、真面目に「ハードゲイになること」。そこにスカッとした「お笑い」を感じる。

しかも、レイザーラモンは──僕の知る限り──同性愛に対する「蔑称」を使用していない。きちんと「ゲイ」という<言葉>をスピークしている。このことは、僕にとって、とても重要な判断材料だ。

「侮蔑的ニュアンスのある言葉」と「そうでない言葉」。二つの「選択」があるのに、わざわざ「蔑称」「侮蔑語」「差別語」を使用すること。それは、差別をしても「かまわない」という<アクト>に他ならない。


有限責任会社 (叢書・ウニベルシタス)

有限責任会社 (叢書・ウニベルシタス)