HODGE'S PARROT

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鏡のような記憶力、ミトロプーロスの『幻想』『悲愴』

ディミトリ・ミトロプーロス指揮のアナログ・レコードを2枚購入。
ベルリオーズの『幻想交響曲』とチャイコフスキー交響曲第6番ロ短調「悲愴」。オーケストラはともにニューヨーク・フィルハーモニック。レーベルは CBS/SONY

両盤とも「GREAT CONDUCTOR」というシリーズのもので、そのジャケットが素晴らしい。黒い背景に、ほんの少し「画像処理」が施してある指揮者の顔のアップ。そこに、墨花という人の書いた流麗なタイトルロゴ”Dmitri Mitropoulos”が描かれてある──それだけなのであるが、とても趣がある。

もちろん演奏も印象的だ。
チャイコフスキーは、即物的というか、「感傷さ」なんて微塵も感じられない純器楽的演奏。テンポも実にスピーディだ。何より、金管がやけに「攻撃的」に聴こえる。甘くないチャイコフスキーの最右翼ではないだろうか。個人的には、チャイコフスキーは、カラヤンのような美麗な演奏が好きだけど。
録音は1957年、ステレオ。

そういえば、クラウディオ・アバド指揮シカゴ交響楽団CBS/SONY)の演奏も、アンチ・ロマンティシズムを謳っていて、たしかその広告には「さよなら、オーバーアクトな《悲愴》」なんていう文句が書かれてあったと思う。
ただアバド盤は、たしかにスピーディだけど「攻撃的」な感じはしないな。どちらかというと、洗練されたキレイな演奏だと思う──が、良くも悪くも強烈な印象は残さない。

ベルリオーズの『幻想交響曲』は、チャイコフスキーよりも面白い。全体的にスコアが透けて見えるような解像度の高い演奏。ブーレーズの先駆という感じだろうか。
もちろん聴きどころは第5楽章「ワルプルギスの夜の夢」。あの「鐘の音」は……低い。ただ音は低くても、ケーゲルのような違和感──もちろんこの違和感が最高なのだが──はない。ピッチはきっちりしていてピアノみたいに鳴り響く。
録音は1957年、ステレオ。


ところで解説には、ミトロプーロスは、

生涯を独身で過し、生活も質素で、社交ぎらいのためにアメリカでの活動よりもヨーロッパでのフリーランスの活動を望んだ

と書かれてあるが……ミトロプーロスがゲイだってことは、みなさんご存知のとおりだ。

1st Recordings / Symphony 2

1st Recordings / Symphony 2


Great Conductors of the 20th Century

Great Conductors of the 20th Century