HODGE'S PARROT

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ゲイ・リベレーション

ここのところ小説にはまったく食指が動かなかったのだが、中二階日誌と、その経由で偽日記法月綸太郎『生首に聞いてみろ』(ISBN:4048734741)のレビューを読んでみて、触手を伸ばしたくなった。
もちろん、ロス・マクドナルドジョージ・シーガルと「母子像」という、いかにも「らしい」材料の「扱い」に興味があるのだが。


それと、ジョージ・シーガルと言えば、僕にとっては、なんといっても、
『ゲイ・リベレーション』(Gay Liberation、1980)だな。
http://www.glbtq.com/arts/george_1s.html

この作品は、1984スタンフォード大学に展示中に何者か──おそらくアンチ・ゲイの人物だろう──によってハンマーで破壊された経緯を持つ。このときシーガルはこう発言している。

"Gay Liberation" was "a human one regarding our common humanity with homosexuals. I'm distressed that disagreement with the statement took this violent, brutal form."

その後、修復されるのだが、しかし1年後、今度はスプレーで”AIDS”という文字が落書きされる。さらに1994年には酔っ払った学生によって再度損傷を受ける。
ということで、シーガルの『ゲイ・リベレーション』は「美術史上」でも類のない「受難」(passion)を持つ作品だ。もちろん、この受難=パッションは、「作品の受難」以上の「意味」があるのは言うまでもないだろう。それはシーガルの作品が「生きた人間に直接石膏を塗って型をとる」ものであることからもわかる。
(この『ゲイ・リベレーション』の PASSION は、川原泉の「ヘイト・スピーチ」を告発する「材料」に使えそうだ)

ちなみに http://www.glbtq.com/ は、ゲイの有名人のエンサイクロペディア。ちょうど今週の誕生日で、カロル・シマノフスキが紹介されている。また、このサイトではパトリシア・ハイスミスの伝記も大々的に広告されている。