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中國鋼琴名曲集



你好! 中国では春節(Chinese New Year、旧正月)ですね──そのため、今日は、北京・上海からの電話も漢字だらけのメールもぜんぜんなかった。
僕も気分は正月(ちなみに今日のランチは、もちろん中国料理)。というわけで、陳潔(Jie Chen、ジー・チェン)のピアノによる『中國鋼琴名曲集』(Chinese Piano Favourites)を聴いた。

Chinese Piano Favorites

Chinese Piano Favorites

  • 王建中《瀏陽河/Liu Yang River》
  • 王建中《百鳥朝鳳/A Hundred Birds Paying Respect to the Phoenix
  • 王建中《彩雲追月/Silver Clouds Chasing the Moon》
  • 黎英海《夕陽簫鼓/Flute and Drum at Sunset》
  • 陳培勳《平湖秋月/Autumn Moon Over the Calm Lake》
  • 王建中《山丹丹開花紅/Glowing Red Morningstar Lilies》
  • 儲望華《二泉映月/The Second Spring Bathed in Moonlight》
  • 儲望華《翻身的日子/Celebrating Our New Life》
  • 丁善徳《兒童組曲/Children's Suite》
  • 涛 声《濤聲/The Sound of the Waves
  • 黎英海《陽關三疊/Farewell》
  • 儲望華《南海小哨兵/Soldiers of the Southern Sea》


まず、王建中の音楽を聴いて、メンデルスゾーンの無言歌を思い浮かべた。美しく響くピアノ、親しみやすいメロディ──ポピュラーソングのようでもある。黎英海の《夕陽簫鼓》は、その漢字のイメージから想像できる感傷的な雰囲気が、いい。陳培勳《平湖秋月》はクロード・ドビュッシーの《月の光》のように、絶妙なピアノの効果を味わえる──楽譜が手に入らないかな、と思った。王建中の《山丹丹開花紅》は、やはりドビュッシーの《沈める寺》のような静かなドラマを秘めている。「新しい命の祝福」という邦題が記されている儲望華の《翻身的日子》は、リズムが生き生きとしていて、なるほど、喜びに満ちている。
そして、丁善徳の《兒童組曲》。この曲は、まさにロベルト・シューマンの《子供の情景》、ドビュッシーの《子供の領分》を彷彿とさせる佳曲だ。テクニック的には、さほど困難ではなさそうなので、「全音のピース」か「黄色帯」(チェルニー30番あるいはトンプソンの教本なら3ぐらい。いまでも色ごとの難易度別表示になっているのか、わからないが)で出せば人気を博すだろう。ウィキペディアによれば、丁善徳(Ding Shande、1911 - 1995)は、パリに留学してナディア・ブーランジェ/Nadia Boulanger に師事したようだ。
涛声の《濤聲》は、ときに不協和音も聴こえる印象派風の音楽で、低音もグワーンと鳴らされる。「西欧的な」技法とピアノのヴィルトゥオジティが遺憾なく発揮されており、聴き応えがある。黎英海《陽關三疊》は英語タイトルの《Farewell》がぴったりのノスタルジックな曲。ピアニスティックな儲望華の《南海小哨兵》は、やはりポピュラーソングのような親しみやすさが身上、最後はかなり盛りあがる。




[陳潔 Jie Chen]