HODGE'S PARROT

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ドイツ総選挙

日本の総選挙が来月の9月11日ならば、ドイツの総選挙はその一週間後、9月18日だ。ドイツの政治状況も、なかなか錯綜していて、面白い。

簡単に記しておくと、中道左派の与党であるSPD社会民主党)から左派が離党し、新党「左派政党(Die Linkspartei)」を結成した。この左派が離脱したことによって、「より中道」になったSPDは、中道右派の野党CDU(キリスト教民主同盟)、CSUキリスト教社会同盟)と大連立を組むのではないか、という憶測が流れている。

僕は個人的にはドイツの自由民主党(FDP)」を応援している。なぜなら、党首のギド・ヴェスターヴェレ氏(Guido Westerwelle)はゲイであることをカミングアウトしている政治家だからだ。CDU・CSUとFDPは連立を組むことになっている。もし政権がCDU・CSU側に移れば、ヴェスターヴェレ氏は閣僚に選ばれるはずだ。


ドイツ政局に関しては『欧州経済新聞』が詳しいのでメモしておきたい。

ドイツ連邦議会解散:連邦憲法裁判所で口頭弁論

ドイツの基本法(Grundgesetz、事実上の憲法)68条によれば、連邦首相が連邦議会の解散を連邦大統領に提案できるのは、自らに対する信任案が否決された場合であるとされている。そこで、6月27日にシュレーダー首相が基本法68条にのっとって信任案を提出し、自らそれを否決するようキャンペーンを張った上で、与野党の賛成多数で否決するという、ある意味脱法手段的な手法により、解散の提案を行っていた。

ドイツ基本法(GG = Grundgesetz)の68条は、連邦首相に対する信任否決の場合についてのみ、連邦大統領の議会解散権を規定している。議会の自主解散は認めていない。したがって、シュレーダー首相&与党SPD社会民主党)は、首相自らの提出した信任案を「否決する」キャンペーンを張った。
そして見事、首相信任が否決され、議会解散となった。

折りしも、我が国では参議院における郵政民営化法案の否決を契機として衆議院の解散が行われたが、これは、ドイツで連邦理事会(連邦参議院)での議席喪失を契機として連邦議会の解散が行われたのと、ある意味パラレルに見ることができ、興味深い。


シュレーダー首相らは、解散の理由として「改革政策を遂行できる多数を失った」と主張しているが、この点も、郵政改革が与党内で支持を得きれなかった小泉首相と通じるものがある。

ドイツ総選挙が更なる混戦:CSUシュトイバー氏が暴言、イラン派兵問題が新たな争点に、選挙無効の可能性も

CDU・CSUは、(前回の選挙の際にシュトイバー候補がホワイトハウスを訪問したことからも明らかなように)親米である。このため、CDU・CSUが政権を担当している場合、合衆国から要請があれば基本的に派兵するということになる。また、欧州内では、同じく親米の連合王国と接近するものと見られており、結果として、フランスとの距離が広がる。したがって、欧州統合は(少なくとも政治的な面では)停滞する(例えば、メルケル候補は、EUがトルコに拡大することに強硬に反対している)。


一方、SPDは左派政党であり、伝統的に旧共産圏とのつながりがあるため(冷戦中もSPDが政権に就くと東独との関係が融和した)、中国やロシアとの関係を重視する。これは、外交的に合衆国とは一線を画したいフランスのゴーリスム(ドゥ・ゴール主義)外交の利害とも一致するので、結果的に、基本的に合衆国よりもフランスとの関係を重視する(したがって、欧州統合は進展する)。このため、(合衆国との友好関係は損ねるが、欧州として利益がなかった)イラク派兵にフランスとともに反対した。