HODGE'S PARROT

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欧州は米国以上の「教育」格差社会

ニューズウィーク日本版』(2005-12・28/2006-1・4号)より、OECD教育局指標分析課長アンドレアス・シュライハーの記事”「欧州はみな平等」の勘違い”(A Classless Act)。

この記事によると、OECD経済協力開発機構)の学習到達度調査(PISA)が示した結果は、アメリカよりもドイツやフランスなどの欧州の主要国のほうが「生徒の社会的な生活環境が学力に影響を与える度合い」が大きいそうだ。つまり教育に関して、欧州は、アメリカよりも「機会均等」の実現が達成されていない。それに加えて、学校間・生徒間の学力格差も大きい。
例えばドイツでは10歳で、大学に進学するか、職業専門学校に行くかを決めなければならない。大学進学に関しては、ホワイトカラーの家庭の子供は、労働者階級の子供よりも4倍になる。

ドイツの政策立案者も教育改革に努めているが、この不公平は構造にメスを入れることには及び腰だ。一部当局者は、階層格差の問題を裏づけるデータが集めるには10年以上かかると主張するが、そんなことを言っている間にも子供たちはふるい落とされていく。

シュライハー氏は、オーストリアやドイツ、フランス、スイスなど教育の中央統制が強い国ほど学校間の学力格差が大きいと指摘する。逆に──フィンランドがその例であるが──各学校に「自由裁量枠」を持たせた場合には、学校間の格差が少ないそうだ。


そういえば、「週間ダイヤモンド/続・憂国呆談」で浅田彰がこんなことを語っていた。

アメリカはいちおう多文化主義だし、少数者優遇措置(アファーマティヴ・アクション)もやってきた。1960年代にあれだけ公民権運動でもめたことを考えれば、その後のたった40年で黒人女性が国務長官をやるまでになったわけだから、それだけは大したものだよ。白人と同じバスに乗って抵抗運動を始めたローザ・パークスや、公民権運動のリーダーだったマーチン・ルーサー・キング牧師の未亡人が、こないだ相次いで死んだけど、歴代大統領がずらりと葬儀に顔を並べるからね。パークスの葬儀のときのクリントンの演説なんて、黒人ジャズ・シンガーニーナ・シモンの歌詞を引用したりして、なかなかのものだった。

(中略)


他方、フランスでは、いったん国籍をとったら共和国の市民として平等だ、だから少数者優遇措置もやらない、なんて言いつつ、北アフリカからの移民の子どもが高級官僚になるなんて現実的にはありえないからね。




「不寛容」が蔓延する時代