HODGE'S PARROT

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『ズーランダー』 Zoolander/2001/アメリカ 監督ベン・スティラー

このチープさ、このバカバカしさ、このくだらなさ……まさに感動的だ。この映画が好きな「あなた」、ぜひ友達になりましょう!

と、思わず叫んでしまいたいくらい、まったく僕のツボな映画。愛すべき、本当に愛すべきB級コメディ、マジで「ズーランダー・ファンクラブ」を結成したいくらいだ。

ストーリーは、「左に回れない」ベン・スティラー演じる「男性スーパーモデル」がファッション業界の陰謀に巻きこまれる、というもの。これが素晴らしく良く出来ている、というか、ここまでギョーカイをパロっておちょくっているというのが凄い。もちろん、ただのパロディではない。だって本物のファッション・デザイナー、例えばトム・フォードやトミー・ヒルフィガーがゲスト出演しているし、雑誌などでよく見かける本物のモデルも多数画面に登場する。

いや、ゲストだったらもっと凄い。ウィノナ・ライダークリスチャン・スレイター、そしてそしてデヴィッド・ボウイまでが「自分自身の役として」出演しているのだ──こういったバカバカしい映画に出演するセレブたちって本当に粋だね、たとえ「物語」を「侵食」してしまっても。
(こういうのって「リアル」と「非リアル」のせめぎあいなんだろうか。なんだかこのバカバカしさにこそ「ポストモダン魂」を感じさせる──つうか、「バカバカしさ」を無理やり「分析」すると必然的に「ポストモダン」が「要請」されてしまう……「メタ」、「引用/パロディ」、「強度=当人たちの自虐ネタ」……。そもそも「ファッション・モデル」という「マリオネット」の「(左に回れない)主体」こそがこの映画において「問題」なのだ……なんつって)

なかでも最高に笑えたのはマイケル・ジャクソンの『ビート・イット』のパロディ部分。男性ファッションモデル同士のバカバカしい「戦いぶり」がお見事だった。
そうそう、この映画も「80年代」のオマージュで彩られていた。なにしろ「サブリミナル・シーン」で使用されるのが、フランキー・ゴーズ・トゥー・ハリウッドの『リラックス』なんだから。