HODGE'S PARROT

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『グリフターズ』 The Grifters /1991/アメリカ 監督スティーブン・フリアーズ

詐欺師たち(グリフターズ)という「陽気なマイノリティ」のコミカルでトラジックなコン・ゲーム。原作はノワール作家のジム・トンプスン、脚本はドナルド・E・ウェストレイク、ということで面白くないわけはない。チープでドライであっけらかんとした暴力が清々しいまでに小気味良く、それがショスタコーヴィチ風の諧謔的なリズム持つ音楽と相俟って、有無を言わさず引きこまれてしまう。トンプスン作品に見られる、ブロンド・ビッチに翻弄されるハンサム・ガイ、という設定はいつものことだ。

そう、二人のアバズレ(マイラ役アネット・ベニングとリリー役アンジェリカ・ヒューストン)に迫られるロイ・ディロン役ジョン・キューザックがなんとも魅力的だ。あの訴えかけるような大きな目がたまらない。愛情も母性もへったくれもない欲得だらけのブロンド女たちに囲まれて、ジョン・キューザックの「黒く清潔な髪」がひときわ美しく見える(そういえば監督のスティーブン・フリアーズは他に『プリック・アップ』や『マイ・ビューティフル・ランドレット』というゲイテイストな映画も手がけていたな)。

またロス・マクドナルド的なエディプス/エレクトラ関係も、「健全な」中流階級以外では学説通りにはいかないようだ。というより、典型的なフロイディズムを嘲笑っているんじゃないのか、これ。