HODGE'S PARROT

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『ストレンジャー・ザン・パラダイス』Stranger Than Paradise/1983/米、独 監督ジム・ジャームッシュ

「物語」を語るところから離れてWords are very unnecessary)、場面と場面の繋がりが切断されて(Come crashing in)、沈黙が支配する(Enjoy the silence by Depechemode)
映画はワンシーン=ワンショットで「その世界」を構築する。

人生の問題の解決は、その問題の消滅という仕方で見出される。
by ウィトゲンシュタイン

場所はニューヨーク→クリーヴランド──そして?。主人公ウィリーはハンガリー移民でありながら、「母国語」を使わない。「英語」を使用し、アメリカ人の「ルール」に従い、彼が理解しているアメリカ人の「生活形式」と一致させようとしている──TVディナーを食べ、アメフトを観戦する。

それを一つの夢と呼べ。
by ウィトゲンシュタイン

そこへいとこのハンガリー人女性エヴァが登場する。エヴァは数日の滞在後、クリーヴランドのおばのところへ行く。一年後ギャンブルで大金を手にいれたウィリーは、友人のエディと共にエヴァを尋ねるべく、クリーヴランドへと向かう……三人でフロリダへ行くために。しかしそれは、彼の中でどの部分が彼に従い、どの部分が彼に従わないかを確認することだった──論理がその適用と衝突してしまったことを、彼は理解する。

モノクロームの映像が美しく、まるで写真のように各々のショットがキマっている。音楽もクール。ただ最初見たときは、そういった印象だけしかなかったのだが、今回見直してみたら「クリーヴランドブダペストに似ている」というセリフから、この映画の「パラドックス」がわかったような気がする。だからウィリー=ベラにはこう言いたい、

幸福に生きよ!
by ウィトゲンシュタイン