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レイチェル・マドウの「左からの一撃」



先日、米国聖公会の主教でオープンリー・ゲイのジーン・ロビンソン氏がバラク・オバマ次期大統領の就任式イベントに参加し祈祷するということを書いたが、そこで引いた YouTube 映像──MSNBC のニュースが「EXCLUSIVE」(独占インタビュー)になっていることに目がいったのと、キャスターのレイチャル・マドウとロビンソン主教のやり取りが、なんかいいな、と思ったのは、僕だけではないと思う。
MSNBCのニュース・ショー「The Rachel Maddow Show」の主役、レイチェル・マドウ(Rachel Maddow、b.1973)は、レズビアンであることを公言しているキャスターだ。


[Rachel Maddow]


レイチェル・マドウは、その番組でリベラル/左派の立場を明確にしている。しかも歯に衣着せぬ発言──それが人気を呼んでいる。最近では、ジョージ・W・ブッシュ大統領に「グッバイ」と言い放った。
Goodbye and Good Riddance. Jackass.



レイチェル・マドウの「活躍」については、『ニューズウィーク日本版』で少し前に記事になっていた。それによるとマドウは、スタンフォード大学で公共政策を専攻し、卒業後はローズ奨学金を受給して、イギリスのオックスフォード大学に留学、政治学の博士号を取得した。さらにトラックの運転手を始めとする様々なアルバイト、エイズ患者/HIV感染者の支援といった活動も行った。彼女はローカルラジオ局(WRNX)でキャスターとしてのキャリアをスタートさせ、その後リベラル系のエア・アメリカ・ラジオ/Air America Media に移籍、左派系の論客として注目を浴びる。そしてMSNBCから声がかかった*1。彼女の存在は「リベラル派復活の申し子」となっていた。

時代がマドウを後押しした面もあった。『レイチェル・マドウ・ショー』のスタートが歴史的な大統領選挙と重なっただけでなく、左派の「抑圧されていた政治的な熱気」が爆発した時期にもあたっていたと、マドウをMSNBC上層部に推薦した人気司会者キース・オルバーマン*2は言う。
この風潮のなかでMSNBCは、右派色を露骨に打ち出すFOXニュースに対抗するように、左派寄りの主張を強めていった。
「左派的とみられていた考え方が社会の主流になった時代の空気を味方につけた」と分析するのはコラムニストのアリアーナ・ハフィントン*3だ。オバマと同じようにマドウは「社会の主流派」になったのだとハフィントンは言う。




「30代女子の左派ニュース革命/When Left Is Right」(『ニューズウィーク日本版』2008-12.10 号より)


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