うわ! ピエール・ブーレーズの《レポン》(Répons、1980-84)じゃないか! しかも「音響のイメージ」(位置、空間)が図示されているし──とりわけ 6:20 過ぎからの色彩感がたまらない!
Boulez: "Repons" 1/5
Boulez: "Repons" 2/5
40年代50年代の厳格なセリー語法によって書かれた、音楽から音楽以外の來雑物を排除した「純粋音楽」から、ブーレーズは60年代、70年代を通して、ゆっくりと、ブーレーズ自身の言葉を借りて言えば、「より自由な語法」による作曲を書き残していく。そして80年代に到って、自らのアイデアで創立した IRCAM*1 の最初の成果として発表した、多次元的電子音響空間作品「レポン」においては、コンピュータと人間、電子音響と自然楽器音響がリアルタイムで反応/応答し、「感化」の力を及ぼし合い、変化/増殖していくプロセスそのものを「音楽」と認める地点に至っているのである。
末延義晴「感化と応答」(『20世紀音楽を語る ピエール・ブーレーズ〔インタビュー〕』、青土社『ユリイカ』1995年6月号より) p.61
Boulez: Repons, Dialogue de l'ombre double
- アーティスト: Pierre Boulez,Ensemble InterContemporain,Dimitri Vassilakis,Florent Boffard
- 出版社/メーカー: Deutsche Grammophon
- 発売日: 1999/04/13
- メディア: CD
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*1:Institut de Recherche et Coordination Acoustique/Musique
→ http://www.ircam.fr/