HODGE'S PARROT

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ヴィタール・ユリアン・フレイの『ザ・イタリアン・コネクション』


Bach: 7 Concerto Transcriptions

Bach: 7 Concerto Transcriptions


チェンバロによるヨハン・セバスティアン・バッハだ。
そして、その古楽器──ミヒャエル・ミートケ(Michael Mietke、1665-1726)*1 のレプリカ──を弾くのは、ジーンズに革ジャンのイケメン・チェンバリスト、ヴィタール・ユリアン・フレイ(Vital Julian Frey、b.1979)。スイス生まれの根っからのチェンバロ奏者だ──というのもフレイはピアノやオルガンから「転向」したのではなく、彼にとって最初の楽器がチェンバロだったのだ。


[Webseite von Vital Julian Frey]

選曲もいい。


これらはすべてバッハが他の(イタリアの)作曲家の協奏曲をチェンバロの独奏曲にトランスクリプションしたものだ──だからアルバムのタイトルが『The Italian Connection』なのだろう。

そんな才気ばしった楽曲のセレクトに、モデルのような風貌のプレイヤーが奏でる音楽。さぞかし、挑発的で意表を突く解釈とスピード感溢れる「ヴィルトゥオーゾなもの」を想像したが……よい意味で裏切られた。
テンポは速すぎず遅すぎず。装飾音も自然。要するに、聴こえてくるのは、実に「気持ちのいい」音楽なのだ。チェンバロの美しい音色──その楽器を愛し慈しむかのような優しい響き。デリカシー。有名なマルチェッロの《オーボエ協奏曲》からの編曲を始め、しっとりとした響きと情感に魅了される一枚だ。
ハンサムな男には古風な楽器がよく似合うぜ!






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