HODGE'S PARROT

はてなダイアリーから移行しました。まだ未整理中。

デュオ・ダコールの《アーメンの幻影》と《大フーガ》



ロベルト・シューマン連弾&二台ピアノのための作品集がとても印象的だった──珍しい選曲というだけではなく、演奏もすこぶる充実していた──デュオ・ダコール(Duo d'Accord)による、オリヴィエ・メシアンの《アーメンの幻影》とベートーヴェンの《大フーガ》(四手ピアノ版)を聴いた。

メシアン:アーメンの幻影/ベートーヴェン:大フーガ Op. 134 (デュオ・ダコール)

メシアン:アーメンの幻影/ベートーヴェン:大フーガ Op. 134 (デュオ・ダコール)

  • メシアン アーメンの幻影
    1. 創造のアーメン
    2. 星たちと、輪のある惑星のアーメン
    3. イエズスの苦悶のアーメン
    4. 欲望のアーメン
    5. 天使、聖者、鳥の歌のアーメン
    6. 神の裁きのアーメン
    7. 成就のアーメン
  • ベートーヴェン 大フーガ Op.134


期待に違わず素晴らしい演奏を聴かせてくれた──いや、《アーメンの幻影》は、アルゲリッチ&ラビノヴィチ盤や高橋悠治&ピーター・ゼルキン盤という個性的な、アクの強い、あるいは現代音楽のスペシャリストによる「かくあれ - 然り」というような演奏を聴いていたので、それに比べると地味かもな、と正直思っていた。
デュオ・ダコール盤は、録音の良さもあって、”欲望のアーメン”や”成就のアーメン”での重低音もバシバシ聴こえるし、”天使、聖者、鳥の歌のアーメン”のキラキラも「どういう音を弾いているのか」がとてもよくわかる。テクスチュアが明解なのだ──精密なピアニズムを再現している。だからこそ、この曲がどのように「キている」のかも、とてもよくわかる。

賑々しい”成就のアーメン”の後にベートーヴェンが続くのだが、100年以上の作曲年代の差があるにもかかわらず、違和感はまったくない。ダイナミズムはメシアンに負けていない。音楽の愉悦さも、負けていない。実に楽しい。この連弾版《大フーガ》は、自筆楽譜が2005年に発見されて話題になったもので、今回初めて聴いたのだが、改めて、ベートーヴェンの音楽は「キている」な、と思った──それが、とてもよくわかる明解な演奏であった。






[関連エントリー]