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リユニオン=再会



BBC のTVドラマ『ケンブリッジ・スパイズ』(Cambridge Spies)でアントニー・ブラント役を演じたサミュエル・ウェストSamuel West の実質的なデビュー映画『リユニオン』(Reunion)の劇場パンフレットが偶然、見つかった。懐かしい気分になった。その再会が嬉しかったのでアップしておきたい──あまり保存状態はよくないのだが。なぜ見つけたのかは後述。

[Reunion (1989)]


この映画はよかったな──細かいところは覚えていないが、サミュエル・ウエストとクリスチャン・アンホルト(Christien Anholt)の出会いから別れ、そして「悲劇的な」再会がとても印象的だった。
監督はジェリー・シャッツバーグ/Jerry Schatzberg 、ハロルド・ピンター/Harold Pinter の脚本による。フレッド・ウルマン(Fred Uhlman、1901 - 1985)の小説をベースにしたもので、ストーリーは、第二次世界大戦前夜のドイツのシュトゥットガルトを舞台に、ユダヤ人の少年ハンス・シュトラウス(アンホルト)とドイツ貴族の子息コンラディアン・フォン・ローエンブルグ(ウェスト)が出会う。二人は友達になる──二人には階級を超えて「共有」する何かがあった。しかし……ヒトラーが政権を取ったドイツでは、家柄の相違以上に、人種・民族の相違が二人を引き裂いていく。暴力的に。ドイツ──そしてヨーロッパに巣食う「差別主義」は、友人、家族、あらゆる人たちの絆を引き裂き、彼らの命を奪っていく。奇跡的にアメリカに逃れたハンスは戦後しばらくたってから、両親、親戚、そしてコンラディアンの消息を尋ねるべくシュトゥッツガルトに戻ってきた……。

Reunion (Panther S.)

Reunion (Panther S.)


とてもいい映画なのでDVD化されないかな、と思う(英Amazonでもなかった)。若き日のサミュエル・ウェストにも再会したいし。
で、サミュエル・ウェストに関して Wikipedia を見ると、興味深いことが記されている。彼はイギリスの左翼政党 Socialist Workers Party (SWP)Socialist Alliance にも所属していたバリバリの左翼である(→ 第四インターナショナル)。また Choir of London のメンバーとして2006年にはエルサレムヨルダン川西岸地区(West Bank)を訪れ詩の朗読を行い、2007年のパレスチナモーツァルト・フェスティバル/Palestine Mozart Festival では『魔笛』を監督している。サミュエル・ウェストトニー・ブレアの「ニュー・レイバー」の激しい批判者でもあった。そしてウェストはオックスフォード大学出身者である──なるほど、そんな彼が『ケンブリッジ・スパイズ』でアントニー・ブラントを演じたのは、まさに適役だったなと思う。

Homage to Catalonia (Classic, 20th-Century, Audio)

Homage to Catalonia (Classic, 20th-Century, Audio)

Sam West Protests Arts Council Cuts





ところで、この映画『リユニオン』のパンフレットに再会したのは、inmymemory さんからトラックバックを受け「本棚か。べつにいいけどアレは写しちゃまずいかな」と思いながら、ちょっとばかし本棚を整理していたからだった。そんなわけで inmymemory さんのご要望に応え僕の本棚の一部を晒してみますね。

↓ は文庫本を入れてる棚のスパイ小説コーナー(笑)





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