東京都美術館で開かれている「フェルメール展 光の天才画家とデルフトの巨匠たち」に行ってきた──もちろん朽木ゆり子 著『フェルメール全点踏破の旅』(集英社新書)をしっかりと携え行きの電車の中できちんと予習しておいた*1。
[東京都美術館]
《絵画芸術》(ウィーン美術史美術館蔵 *2)が出品不可になったのは残念だけど(ま、これはウィーンで見たことがあるけれど)、
- 《ワイングラスを持つ娘》 (アントン・ウルリッヒ美術館 *3)
- 《小路》 (アムステルダム国立美術館 *4)
- 《ヴァージナルの前に座る若い女》 (個人蔵)
- 《手紙を書く婦人と召使い》 (アイルランド・ナショナル・ギャラリー *5)
- 《マルタとマリアの家のキリスト》 (スコットランド・ナショナル・ギャラリー *6)
- 《ディアナとニンフたち》 (マウリッツハイス王立美術館 *7)
- 《リュートを調弦する女》 (メトロポリタン美術館 *8)
と、フェルメール全37作中7作品を一挙に見ることができて、なかなか壮観だった。
この中では、個人的には、《リュートを調弦する女》が一番好きだな──なんといってもこの絵の持つ静謐な雰囲気が素晴らしい。ちなみに…… Ross Watson の描く「スポーティな男性」が絡む一連のフェルメール(《リュートを調弦する女》もある)も大好きだ。
ヨハネス・フェルメール以外では、描かれている題材自体は他愛もないが透視図法が見事なピーテル・デ・ホーホ(Pieter de Hooch、1629 - 1684)をまとまって見ることができるものグッドだ。デ・ホーホの描く室内空間の絶妙なパースペクティヴはフェルメールに決して引けを取らない──心地よくクラクラさせてくれる*9。
画集で見たことのあるエマニュエル・デ・ウィッテ(Emanuel de Witte、1617 – 1691)の《ヴァージナルを弾く女》(ボイマンス美術館 *10)も、実際に実物を眼の前にすると、やはりクラクラ必須の遠近感に魅了される──題材は爆笑ものだが。
それと、この展覧会で初めてその名を知ったカレル・ファブリティウス(Carel Fabritius、1622 - 1654)と、ヘンドリック・コルネリスゾーン・ファン・フリート(Hendrick Cornelisz van Vliet、1611/1612 - 1675)の作品を見ることができたのも良かった。ファブリティウスの《楽器商のいるデルフトの眺望》(ロンドン・ナショナル・ギャラリー *11)については、そのパースペクティブをよりいっそう感じることのできる「装置」もあって、面白かったし。今回は図版を買わなかったのだが──フェルメールはいろいろと持ってるし、オランダ絵画はそれほどタイプではないので(なにしろ「イタリア美術至上主義」なもので、笑)──ファブリティウスの《歩哨》(シュヴェリン国立美術館 *12)とフリートの《オルガン・ロフトの下から見たデルフト旧教会の内部》(個人蔵)は150円のポストカードを記念に買っておいた。
両作品とも「犬」が可愛くて──そう、僕は犬好きなのだ──しかもその強烈な遠近感に痺れた。
[関連エントリー]
*1:
*5:National Gallery of Ireland
*6:National Gallery of Scotland
*7:The Royal Picture Gallery Mauritshuis
*10:Museum Boijmans Van Beuningen