HODGE'S PARROT

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アンドレアス・ブランテリドのデビュー



Saint-Saens/Schumann: Vc Cons

Saint-Saens/Schumann: Vc Cons


EMI CLASSICS の「Debut」シリーズからCDデビューした、スウェーデン(生まれはデンマークのようだ)のチェリストアンドレアス・ブランテリド(Andreas Brantelid、b.1987)。そのデビューに際し、ロベルト・シューマンの作品を選んだ心意気を、買った。
共演は、Michael Schønwandt 指揮、Danish National Radio Symphony Orchestra 。
収録曲は、


サン=サーンスチャイコフスキーの作品は──あまり聴きこんでいない楽曲なのだが──ともに華麗な技巧を駆使したロマン派チェロ協奏曲の代表作なので、ブランテリドの腕前を知るにはうってつけだ。ここで彼は、そのテクニックの確かさを知らしめ、しなやかで颯爽としたチェロの音を聴かせてくれる。低音は豊かに響くが重くならない。明快なリズム感がいい。ノリがいい。《ロココ主題》での高音やフラジオレットも抜群に良く響く。さすが2006年のユーロビジョン・ヤング・ミュージシャンズ/Eurovision Young Musicians の優勝者であり、”Rising Star”と呼ばれるだけのことはある。
が、しかし、上記の美点は肝心のシューマンのチェロ協奏曲では、必ずしもプラスにならないのではないか、と思ったが、そうではなかった。これがなかなか良かったのだ。内省的というか内向的というか、ともすればダレがちなこの曲を、ブランテリドはやはり颯爽と弾きこなす。そこには推進力がある。緩徐楽章は情感豊かに歌い、あの重音も美しい。第3楽章では「きわめて生き生きと」音楽が展開し、ソロ、オケともども音楽をドラマティックに盛り上げ、とても聴き応えがあった。次はショスタコーヴィチあたりを聴きたいな、と思う。


ちなみにアンドレアス・ブランテリドのチェロは1690年製の Giovannni Grancino。そして Cellist-Database によれば、彼は、「スズキ・メソード(Suzuki method)」によるレッスンを受けたこともあるようだ。