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アレクサンドル・タローのイタリア協奏曲



Concertos Italiens

Concertos Italiens


最近とくに気に入っているフランスのピアニスト、アレクサンドル・タロー(Alexandre Tharaud、b.1968)のJ.S.バッハ作品集。タイトルは『Concertos italiens』で、有名な《イタリア協奏曲》を始め、ヴィヴァルディやマルチェロらイタリアの作曲家の「協奏曲」をバッハがアレンジしたものが収録されている──バッハのイタリアへのオマージュがコンセプトだろうか。
特筆すべきは、現代ピアノの機能を生かした、繊細なタッチと美しい音色にある。このタローのバッハには、作曲者が想定していなかったであろう「音色」が見事に創造されており、それが実に魅力的なのである。これこそ、優れた一人のアーティストの「創作」であろう。
とくにアレッサンドロ・マルチェッロのオーボエ協奏曲ニ短調(とりわけ第二楽章)やベネデット・マルチェッロのヴァイオリン協奏曲ニ短調の「クラヴィーア編曲作品」(BWV.974、BWV.981)は、まるでショパンドビュッシーの作品がプレイされているかのように、そしてそういった音楽を聴いているかのように、本当にうっとりと聴き惚れてしまう──ドイツ音楽史上主義者の「聴き方」ではないね。ラストの《アンダンテ》BWV.979 なんて、まさに情感を揺さぶるロマンティックな音楽だ。


[Alexandre Tharaud]



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