HODGE'S PARROT

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J.S.バッハ《ヨハネ受難曲》



同じバッハの受難曲でも、《マタイ受難曲/Matthäus-Passion》BWV244 は時と場合によってはベートーヴェンの《熱情》やシューマンの《クライスレリアーナ》以上に熱狂し神経が高ぶってしまうので、今日はできるだけ気分を落ち着かせるべく《ヨハネ受難曲/Johannes-Passion》BWV245 の方を聴いた。

Gd77041

Gd77041

  • クリストフ・プレガルディエン/Christoph Prégardien(福音史家、Tenor)
  • ハリー・ファン・デル・カンプ/Harry van der Kamp(イエス、Bass)
  • バルバラ・シュリック/Barbara Schlick(Sopran)
  • ルネ・ヤーコプス/René Jacobs(Altus)
  • ニコ・ファン・デル・メール/Nico van der Meel(Tenor)
  • マックス・ファン・エグモント/Max van Egmond(Bass)

音楽は静謐である。しかしこの受難曲は「ヨハネによる福音書」にある、例のシモン・ペトロ(Simon Peter、Simon Petrus)が大司祭の下僕の耳を切り落とす場面から始まる。にもかかわらず、音楽は不思議と穏やかであり、聴いていると、思索と瞑想が綯い交ぜになる。

それでユダは、一隊の兵士と、祭司長たちはファリサイ派の人々を遣わした下役たちを引き連れて、そこにやって来た。松明やともし火や武器を手にしていた。イエスは御自分の身に起こることを何もかも知っておられ、進み出て、「だれを捜しているのか」と言われた。彼らが「ナザレのイエスだ」と答えると、イエス「わたしである」と言われた。イエスを裏切ろうとしていたユダも彼らと一緒にいた。イエス「わたしである」と言われたとき、彼らは後ずさりして、地に倒れた。そこで、イエス「だれかを捜しているのか」と重ねてお尋ねになると、彼らは「ナザレのイエスだ」と言った。すると、イエスは言われた「『わたしである』と言ったではないか。わたしを捜しているのなら、この人々は去らせなさい。」それは「あなたが与えてくださった人を、わたしは一人も失いませんでした」と言われたイエスの言葉が実現するためであった。


シモン・ペトロは剣を持っていたので、それを抜いて大司祭の手下に打ってかかり、その右の耳を切り落とした。手下の名はマルコスであった。イエスはペトロに言われた。「剣をさやに納めなさい。父がお与えになった杯は、飲むべきではないか」




ヨハネによる福音書 18.3-11(新共同訳『聖書』より)



イタリアの画家グイド・レーニ(Guido Reni、1575 − 1642)による『ペトロ(Petrus)』。

When they had finished eating, Jesus said to Simon Peter, "Simon son of John, do you truly love me more than these?"
"Yes, Lord," he said, "you know that I love you."
Jesus said, "Feed my lambs."
Again Jesus said, "Simon son of John, do you truly love me?"
He answered, "Yes, Lord, you know that I love you."
Jesus said, "Take care of my sheep."
The third time he said to him, "Simon son of John, do you love me?"
Peter was hurt because Jesus asked him the third time, "Do you love me?" He said, "Lord, you know all things;you know that I love you."
Jesus said, " Feed my sheep. I tell you the truth, when you were younger you dressed yourself and went where you wanted; but when you are old you will stretch out your hands, and someone else will dress you and lead you where you do not want to go."





JOHN 21:15-18



一曲(一部分)だけ YouTube からお気に入りのテノールのアリアを。トーマス・モーザー/Thomas Moser、ニコラウス・アーノンクール/Nikolaus Harnoncourt 指揮&ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス/Concentus Musicus Wien の演奏。

J.S. Bach - Johannes-Passion- Erwäge wie sein blutgefärbter

心によく留めなさい 血に染まった
エスの背中はことごとく
さながら天国のようであることを!
洪水のように押し寄せる私の罪が
引き消えたのちには
この上なく美しい虹が
神の恵みのしるしとして現れることを!





ヨハネ受難曲 第2部 20(32) アリア(『宗教音楽対訳集成』、井形ちづる+吉村恒 訳・編、国書刊行会より p.204-205)



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