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日本IBM、社内ダイバーシティ委員会に「セクシャル・オリエンテーション」部門設置



ちょうど『ニューズウィーク』(2008.2.13)の特集「CSR 企業の社会的責任ランキング」でも重要な評価基準として取り上げられていた職場のダイバーシティであるが、それに取り組んでいる国内企業のニュースがあった。日本IBMが社内ダイバーシティ委員会に”「ゲイ、レズビアンバイセクシュアルなどいった性的マイノリティーの人々も気兼ねなく働ける環境とネットワーク作り」を目指した「セクシャル・オリエンテーション」部門”を設置し雇用環境を整えることを発表した、というものだ。


日本IBM 性的少数派にも配慮 多様性尊重で組織 [FujiSankei Business i.]

同委員会は日本IBM独自の組織。国籍や性別、同性愛のような性的志向など個人の多様性を尊重することが、自己実現が可能で活力のある企業文化の育成や発展につながるという考えから作られた。背景には、少子高齢化が進展するなか、将来の雇用環境の変化に対応できる社員の意識改革を図りたい考えもある。


 大歳卓麻社長は同日の会見で、「いろいろな人が世界中で一緒に働くことで、新たな価値を生み出す効果がある」と述べ、グローバル化をさらに進める上で、多様性の尊重が重要になるとの認識を示した。

委員会は5つの部門──「女性」「ワークライフ・バランス」「障害のある人々」「セクシャル・オリエンテーション」「マルチ・ナショナル(多国籍性)」──を設置、「社員からの意見などを積極的に吸い上げて経営に取り入れていく方針だ」という。


→ ダイバーシティーとは

相違点、多様性の意味で、性別や年齢、国籍、ライフスタイルなど個人で異なる発想・価値を認め、尊重していくこと。人種、性別、宗教などを理由とする雇用差別を禁止している多民族社会の米国で生まれた概念。多様な人材をそなえることが、ビジネス環境の変化などに柔軟に対応できる企業を作るという考えに基づいている。


関連するが、『ニューズウィーク』の記事には、CSRランキングの総合第3位、従業員部門トップ*1のイギリスの銀行HBOS(Halifax Bank of Scotland)の職場ダイバーシティー推進について書かれてある。それによると HBOSは、「ジェンダー性的志向、年齢、肌の色、障害、宗教……に関係なく、全社員の機会均等を確約する」と明文化している。

同社ではアンディ・ホーンビィCEO(最高経営責任者)が自ら「ダイバーシティ運営委員会」のトップを務め、職場の多様性を推進している。06年に新たに導入したプログラムの一つが eラーニング研修。いじめや差別、障害者との協調など多様性をめぐる問題について学ぶコースで、試験もある。全社員の85%以上が修了した。


また、ランキング総合1位のスイスのエクストラータ社に関する記事「社会的責任はペイする投資」では、消費者が安全性にかかわる情報に敏感に反応し、世界の有力NGO(非政府組織)が環境や人権について常に企業を監視しているだけでなく、企業の経営という観点からもCSR/社会的ライセンスに関する重要な指摘がなされている。

株主さえ変わりはじめた。投資先を決める判断基準として環境、社会、企業統治を重視する国連の責任投資原則(PRI)に署名した世界の機関投資家は255に増え、運用額も10兆ドルにふくらんだ。
投資からできるだけ高いリターンを得ることを義務づけられている機関投資家も、社会的ライセンスを軽視した企業の将来性を信じなくなったということだ。


アムネスティ・インターナショナル・ジャパンにも、アムネスティCSRチームによる「Corporate Social Responsibility と人権」というブログがあり、人権問題と企業活動という視点で「企業の社会的責任」について考え、問題に取り組んでいる。

■■■チームのミッション(使命)■■■


アムネスティ・インターナショナル日本 CSRチームは、すべての企業が自社事業の範囲内で人権侵害への加担を回避すること、そして、企業の社会的責任として、人権が尊重される社会を構築するために行動をとるように働きかけていきます。


【提唱する企業の人権マター例】

  • 児童労働、強制労働(サプライチェーンでの児童労働・強制労働も含む)
  • 差別(性、障害者、外国人、信教、政治活動、同性愛、エイズなど)
  • 公害/環境
  • 労働安全、衛生、労働者の権利
  • 強制立ち退き
  • 贈賄
  • 内部通報者の保護


http://csrteam.blogspot.com/2007/12/httpwww.html

[Amnesty International Japan]





[関連エントリー]

*1:SiRiCompanyのCSRデータに基づく
http://www.siricompany.com/