HODGE'S PARROT

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ローラ・ボベスコのギヨーム・ルクー



そういえばベルギー王国ってどうなったんだっけ……
ということを、ルーマニア生まれのベルギーのヴァイオリニスト、ローラ・ボベスコ(Lola Bobesco、1921年生まれ)によるベルギーの作曲家ギヨーム・ルクー(Guillaume Lekeu、1870 - 1894)のヴァイオリン・ソナタを聴きながら思った。

ルクー&ドビュッシー:ヴァイオ

ルクー&ドビュッシー:ヴァイオ


ルクーの音楽は、やはりベルギー出身のセザール・フランクのものと並び、僕の胸中に訴えるものがある。大好きな作曲家の一人だ。このヴァイオリン・ソナタも、フランクの作品に勝るとも劣らないドラマが繰り広げられる。とても情熱的で、若々しく、憧憬の思いに満ち溢れている。ルクーが24歳で夭折したという事実を知らなくても、その音楽がすべてを物語っている……そのように感じられるほど、迸る情熱とナイーブな叙情性は実に魅力的だ。
ボベスコのヴァイオリンが、また、いい。なんていうか、とても優しい。一音一音を大切に、しっかりと、奏でる。ヴィブラートも深く、広く、取る。テンポも感情の振幅に合わせて、揺れる。
一言で言えば「愛情」が感じられるのだ。
愛情なんていう言葉を衒いもなく使いたくなる──ボベスコの演奏は、そのように得難いものだ。
ジャック・ジャンティのピアノも美しい。カップリングのドビュッシーソナタも絶品だ。