HODGE'S PARROT

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ザ・グリッド



『S.A.S. 英国特殊部隊』も『24 TWENTY FOUR』も見終わっていないのだけれども、バーゲン価格で『ザ・グリッド/THE GRID』が売っていたので購入。早速、第1話を観た。

ザ・グリッド DVDコレクターズ・ボックス

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何と言っても、CIA(アメリカ中央情報局)、FBI(米連邦捜査局)、NSC(米国家安全保障会議)、そしてMI6(イギリス情報局秘密情報部)が合同チームを組んで対テロ捜査を行うという設定が、抜群に面白い。しかもMI5(英情報局保安部)も登場するので、英米の情報機関が勢揃い、という豪華さだ。

TSUTAYA のサイトでその予告編を観ることができる。

各エージェントがそれぞれ強みと弱みを兼ね備えた「人間らしい」キャラクターとして描かれており、単にテロリストVS.諜報機関という図式だけではない、ドラマとしての魅力がある──同様に、テロリスト側も丹念に描いている。
NSC のマレン・ジャクソン(ジュリアナ・マルグリーズ)は合同チームのリーダーであるが、CIA の上層部との縄張り争いに巻き込まれている。さらに彼女自身イスラム教に対する「恐怖」──とりわけ女性を抑圧しているという──に取り付かれている。
一方、CIA のラザ・マイケルズ(ピーター・マレック)は有能な中東担当分析官であるが、イスラム教徒であるため、嘘発見器のテストを強いられる。彼はマレンにイスラム教徒への偏見を正そうとするのだが、彼自身、親族からは「アメリカ人でもなく」「アラブ人でもない」と看做されている。
FBI のマックス・カナリー(ディラン・マクダーモット)は、9.11 で親友を失い、テロリストに対する怒りが強い。彼は死んだ親友の子供をわが子として育てている。
そして、MI6 のエミリー・タトル(ジェマ・レッドグレーブ)。上記米組織の三人が意外に官僚的であるのに対し、いかにも「スパイらしい」のが彼女だ。叩き上げの MI5 捜査員に対しエリート然とした振る舞いで、しかも最初はアメリカ側に対して非協力的な態度を取る。というのも、イラク戦争における「カウボーイの情報」──大量破壊兵器の存在──によって英国側が被った混乱を根に持っているからだ(まあ、このドラマにはBBCが噛んでいるので、これもある種の「情報戦」なのかもしれない)。

いちおう以下が──個人的に大ファンである(笑)──MI6 の本部が登場する場面だ。グッときたね。


この四人の人物を中心に、アメリカ、ヨーロッパ、中東、アフリカで起こるテロと、それに対する攻防がリアルに描かれる。
一方、テロリスト側が世界的なネットワークを構築していくのも、説得力がある。エジプトのエリート医師が原理主義に関わっていくのは何故なのか。ロンドンの移民が、とりわけ「英語が話せる」としてテロリスト集団から重宝される事実。そしてアメリカ国籍を持つチェチェン人──碧眼、金髪で見た目は「典型的なアメリカ人の学生」が、「アメリカ人であること」によって、外国に滞在している欧米人といかに接触しやすいか……。彼らの持つ「弱み」が、どのようにして原理主義の誘惑を自らに引き寄せ、それが「強み」として(再)利用されていくか……。
『24』の、あざといほどのサスペンスはないが、中心となる国際的謀略が「リアル」に感じられる。それだけに、1シーズンで終わってしまったのが、残念だ。