HODGE'S PARROT

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シェーンベルク《浄夜》



ダニエル・バレンボイムの指揮とピアノによるアルノルト・シェーンベルク作品集を聴いた。
オーケストラはシカゴ交響楽団。曲は、《浄められた夜》、5つの管弦楽曲 Op.16、3つのピアノ曲 Op.11、6つのピアノ曲 Op.19、それにブゾーニ編曲による3つのピアノ曲 Op.11 より第2番だ。


グスタフ・クリムトのジャケットが何より鮮烈だ。しかもこのCD、同じクリムトの絵による金色の箱に入っていて、さらに(やはりクリムトの絵をあしらった)英仏独語による90ページの解説書付き。解説書を開くとリヒャルト・ゲルストルによるシェーンベルク肖像画があり、シェーンベルク自身による自画像、リヒャルト・デーメル/Richard Dehmelの写真も載っている。もちろんデーメルの詩も全文掲載されているし、楽譜も──とくにピアノ曲におけるオリジナルとフェルッチョ・ブゾーニ版の差異が──多く引用されている。
そのような、ちょっとバブリーなゴージャス感が、ネット配信とは異なるモノとしてある。やはり確固とした実体があると、いい。
演奏も、言うまでもなく、ゴージャスだ。《浄夜/Transfiured Night》におけるシカゴ響の弦の響きはこれ以上ないくらい豊潤であり、「5つの管弦楽曲」での管楽器の咆哮は無敵を誇る。バレンボイムの指揮は、聴かせる。
ピアノ曲では、やはり注目はブゾーニの編曲であろう。ピアノ曲をオーケストラにアレンジするのではなく、別のアレンジのピアノ曲にする──まるで「シェーンベルク君、これじゃダメだよ」と言っているようなものだ。しかし流石はブゾーニ先生、陰鬱だった曲がピアノの響きの美しさを十分に引き出したドラマティックな楽曲に変貌している。聴かせる。

あなたは私に燦然とした輝きをもたらしてくれました。



Die wird das fremde Kind verklären,
Du wirst es mir, von mir gebären;
Du hast den Glanz in mich gebracht,
Du hast mich selbst zum Kind gemacht.




『Verklärte Nacht』 by Richard Dehmel