HODGE'S PARROT

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アルゲリッチ&フレンズ『ルガーノ・フェスティヴァル・ライヴ2006』



毎回リリースが楽しみなアルゲリッチとその仲間たちによる『Live from the Lugano Festival』。スイスのルガーノ市で開催された音楽フェスティヴァルのライブで、この2006年版も期待を裏切らない「熱狂の時」を聴くことができた。

Live From the Lugano Festivals 2006

Live From the Lugano Festivals 2006

  • アーティスト: Alfred Schnittke,Claude Debussy,Felix Mendelssohn,Friedrich Gulda,Robert Schumann,Sergey Ivanovich Taneyev,Alexander Rabinovich-Barakovsky,Orchestra della Svizzera Italiana,Martha Argerich,Gabriela Montero,Nicholas Angelich,Lilya Zilberstein,Polina Leschenko,Karin Lechner,Sergio Tiempo
  • 出版社/メーカー: EMI Classics
  • 発売日: 2007/05/02
  • メディア: CD
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Cello Concertos カヴァーにはマルタ・アルゲリッチの顔が載っているけど、これ、ゴーディエ・カプソン(Gautier Capuçon)が飾っても良かったのではないか……と思うほど、このチェリストが出ずっぱりで大活躍していた。

まず、シューマンのピアノ四重奏曲Op.47。ピアノ五重奏曲ほどポピュラーではないけれど、とりあえず第3楽章を聴いてみよう。シューマンが稀代のメロディーメーカーだったことがわかる。まさに憧れに満ちた美しい音楽だ。それをゴーティエのチェロで朗々と歌われるのだから、たまらない!
同じくシューマンピアノ三重奏曲第1番Op.63。ところどころ暗い情念が渦巻きながらも、最後には明るい兆しに満たされる、これまもたシューマンらしい音楽。カプソン兄弟にニコラス・アンゲリッシュのピアノで。
メンデルスゾーンチェロソナタ第2番だって、やはり、ゴーティエ・カプソンのチェロの音色に酔うものだろう。第3楽章の「語り」が聴かせるなあ。
そして何と言ってもフリードリッヒ・グルダ作曲のチェロ協奏曲だ。以前、テレビで放映していたのを観て、そのあまりのカッコよさ痺れたのだが、その曲が収録された。ジャズにも「造詣が深い」グルダらしく、吹奏楽にドラムとギターが加わった特殊な編成で、モダンで鋭角的な部分とリリックなクラシック調の「折衷」が見事。ゴーティエ・カプソンがその「親しみやすい」現代音楽=ウィーン風ジャズで、技巧の限りを尽くす。ライブならではの迫力。随一の熱演だろう。


以上がゴーティエ・カピュソンのプレイが聴けるものだが、それ以外の曲も素晴らしかった。とくにロシアの作曲家セルゲイ・タネーエフのピアノ五重奏曲ト短調 Op.30。初めて聴いたのだが、これはいい。第1楽章だけで20分近くも要する大曲で、シューマンブラームス、そうマックス・レーガーのような重厚でドラマティックな音楽が展開される。とても聴き応えがあった。
ロシアものでは他にアルフレット・シュニトケのヴァイオリン・ソナタ第1番をアリッサ・マルグリス(Vn)とポリーナ・レスチェンコ(P)が演奏していた。これもヴァイオリンとピアノの技巧を楽しめる「親しみやすい」現代音楽だ。
変わったところでは、シューマンの幻想小曲集をセルゲイ・ナカリャコフがフリューゲル・ホルンで(ピアノはアルゲリッチ)、ドビュッシーの『夜想曲』をセルジオ・ティエンポとカリン・レヒナーのピアノデュオで演奏していた。