エレーヌ・シクスーの作品に『狼の愛』があるのを知ったとき、まっさきに思い浮かべたのが、ピアニスト、エレーヌ・グリモーのことだ。彼女は、情熱的なまでに狼に愛を注いでいるウルフ・ガールとして知られ、事実、ニューヨークでは「オオカミ保護センター」(WCC、Wolf Conservation Center)を運営している。
Helene Grimaud: Artist Portrait
- アーティスト: Schumann,Gershwin,Brahms,Beethoven
- 出版社/メーカー: Warner Classics
- 発売日: 2003/01/20
- メディア: CD
- クリック: 21回
- この商品を含むブログ (2件) を見る
- 作者: エレーヌグリモー,北代美和子
- 出版社/メーカー: 武田ランダムハウスジャパン
- 発売日: 2004/05/11
- メディア: 単行本
- 購入: 5人 クリック: 87回
- この商品を含むブログ (17件) を見る
まあ、そのシクスーのエントリーが抑制が効かなくなるくらいダラダラと長くなってしまったし、まあもともとダジャレめいた突発的な発想だしな……と、興奮を鎮めそのままにしておいたのだが、J.S.バッハの≪シャコンヌ≫関連の映像をいろいろと観ていて、そこからブゾーニ編曲の≪シャコンヌ≫を弾くグリモーの映像に辿りついて、その光景を……やはり充足すべく書いておきたくなった。だって事実、満足のいく魅力的な演奏だったのだから。
Helene Grimaud's piano recital -part 1
この≪シャコンヌ≫、あの「怒涛のアルペジオ」の手の動きが実によく見える。カメラも上から撮っているアングルが多く、刺激的なシーンが多い。演奏はダイナミックで熱情的だ。
Rachmaninov - Etudes tableaux op.33 n.2 / n.1 - H. Grimaud
同じ演奏会から、ラフマニノフの練習曲集≪音の絵≫の第1集より2番と1番。とくに1番(後半の曲)の、ときに破綻するのではないかと思うくらい危うく、そして猛進突進していくグリモーのピアニズムといったら。ラフマニノフって「甘美な」イメージがあるけれど、こういった演奏を聴くと、やはり「闘争的な」部分もあってこそ、より甘く官能的に響くのだな、と思う。
Helene Grimaud masterclass
こちらはシューマンのヴァイオリンソナタ1番についてレクチャー?している映像。曲は二重奏であるが、パートナーなしでも──このヴァイオリン・ソナタのピアノは、「伴奏」とはとても言えない──グリモーは一人でピアノを弾きながら、陶酔しきっているような表情を見せる。シューマンの激情は彼女のピアノにぴったりだ。最後に共演のヴァイオリニスト、ギル・シャハムがちょっとだけ映る。
Hélène Grimaud @Thé ou café
最後にこの映像。フランスのテレビ局に出演したときのようなのだけど、これまでの「グリモーの奇跡」を紹介している。まだ少女の頃の様子から、今だ壮健なピエール・ブーレーズと共演したときの演奏風景、そして「真っ白な数匹の狼」と戯れる幸福感に満ちたシーンもあったりと、興味深く、見応えがある。
- アーティスト: グリモー(エレーヌ),ブラームス
- 出版社/メーカー: ワーナーミュージック・ジャパン
- 発売日: 2002/10/23
- メディア: CD
- 購入: 3人 クリック: 43回
- この商品を含むブログ (14件) を見る
- アーティスト: グリモー(エレーヌ),ショパン,ラフマニノフ
- 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
- 発売日: 2005/02/02
- メディア: CD
- クリック: 27回
- この商品を含むブログ (9件) を見る
[Hélène Grimaud Official Website]
[関連エントリー]