HODGE'S PARROT

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狼の愛、ピアノの愛 エレーヌ・グリモー




エレーヌ・シクスーの作品に『狼の愛』があるのを知ったとき、まっさきに思い浮かべたのが、ピアニスト、エレーヌ・グリモーのことだ。彼女は、情熱的なまでに狼に愛を注いでいるウルフ・ガールとして知られ、事実、ニューヨークでは「オオカミ保護センター」(WCC、Wolf Conservation Center)を運営している。


Helene Grimaud: Artist Portrait

Helene Grimaud: Artist Portrait

野生のしらべ

野生のしらべ


まあ、そのシクスーのエントリーが抑制が効かなくなるくらいダラダラと長くなってしまったし、まあもともとダジャレめいた突発的な発想だしな……と、興奮を鎮めそのままにしておいたのだが、J.S.バッハの≪シャコンヌ≫関連の映像をいろいろと観ていて、そこからブゾーニ編曲の≪シャコンヌ≫を弾くグリモーの映像に辿りついて、その光景を……やはり充足すべく書いておきたくなった。だって事実、満足のいく魅力的な演奏だったのだから。


Helene Grimaud's piano recital -part 1


この≪シャコンヌ≫、あの「怒涛のアルペジオ」の手の動きが実によく見える。カメラも上から撮っているアングルが多く、刺激的なシーンが多い。演奏はダイナミックで熱情的だ。


Rachmaninov - Etudes tableaux op.33 n.2 / n.1 - H. Grimaud


同じ演奏会から、ラフマニノフの練習曲集≪音の絵≫の第1集より2番と1番。とくに1番(後半の曲)の、ときに破綻するのではないかと思うくらい危うく、そして猛進突進していくグリモーのピアニズムといったら。ラフマニノフって「甘美な」イメージがあるけれど、こういった演奏を聴くと、やはり「闘争的な」部分もあってこそ、より甘く官能的に響くのだな、と思う。


Helene Grimaud masterclass


こちらはシューマンのヴァイオリンソナタ1番についてレクチャー?している映像。曲は二重奏であるが、パートナーなしでも──このヴァイオリン・ソナタのピアノは、「伴奏」とはとても言えない──グリモーは一人でピアノを弾きながら、陶酔しきっているような表情を見せる。シューマンの激情は彼女のピアノにぴったりだ。最後に共演のヴァイオリニスト、ギル・シャハムがちょっとだけ映る。


Hélène Grimaud @Thé ou café


最後にこの映像。フランスのテレビ局に出演したときのようなのだけど、これまでの「グリモーの奇跡」を紹介している。まだ少女の頃の様子から、今だ壮健なピエール・ブーレーズと共演したときの演奏風景、そして「真っ白な数匹の狼」と戯れる幸福感に満ちたシーンもあったりと、興味深く、見応えがある。



ブラームス:後期ピアノ小品集

ブラームス:後期ピアノ小品集

ラフマニノフ:ピアノ・ソナタ第2番

ラフマニノフ:ピアノ・ソナタ第2番




[Hélène Grimaud Official Website]


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