HODGE'S PARROT

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リヒテルの「鬼気迫る」ベートーヴェン



スヴャトスラフ・リヒテルの弾くベートーヴェンピアノソナタをたっぷりと聴いた。1961年から1978年までのライブを収録した、Brilliant Classics の『Sviatoslav Richter In Concert』で、ロシア音源「HISTORIC RUSSIAN ARCHIVES」の5枚組BOXだ。音質は意外に良好だった。

スヴャトスラフ・リヒテル名演奏集(5枚組)

スヴャトスラフ・リヒテル名演奏集(5枚組)


≪悲愴≫、≪月光≫、≪熱情≫といった超メジャーな作品はないのだけれども、第3番ハ長調Op.2-3や第4番変ホ長調Op.7といった初期作品から、中期の第17番ニ短調Op.31-2≪テンペスト≫、第18番変ホ長調Op.31-3、第27番ホ短調Op.90、そして後期の第28番イ長調Op.101、第30番ホ長調Op.109、第31番変イ長調Op.110、第32番ハ短調Op.111が、バランスよく入っている。

テンペスト≫やラスト3はともかく、初期のピアノ・ソナタは、それほど「聴く」機会がなかったので──退屈な「ソナチネ・アルバム」の次に習わせられた思い出はある──リヒテルの演奏は新鮮だった。例えば、第3番ハ長調ってこんなにも重厚でドラマティックな音楽だったんだ、と改めて楽譜を開いてみた次第。
もちろん、いうまでもなく、≪テンペスト≫や第32番の1楽章の尋常でない気迫には圧倒されっぱなしで、31番の「嘆きの歌」→フーガ→「嘆きの歌」→フーガの部分は、緊張しまくり──「鬼気迫る」という表現をここでしなければ、いったいどこで使う? リヒテルは本当に凄いピアニストだ。


このCDボックスには、ベートーヴェンの他にシューベルトフランツ・リストソナタも、たっぷりと収録されている。こちらも、いうまでもなく、素晴らしいもの……だろう。まだ全部聴き終わっていないので……。