HODGE'S PARROT

はてなダイアリーから移行しました。まだ未整理中。

米国 ゲイの外交官たち



ワシントン・ポスト』に、「ゲイの外交官たち/国務省 よりフレンドリーな職場へ」という記事が載っていた。


gay diplomats At State, a Friendlier Workplace [Washington Post]


記事では、コンドリーザ・ライス国務長官Condoleezza Rice 、United States Secretary of State)が、オープンリー・ゲイであるマーク・R・ダイブル氏(Mark R. Dybul)の「Global AIDS Coordinator、OGAC」への就任式を、国務省内のベンジャミン・フランクリンの間で行ったときの模様を紹介している。
昨年10月に行われた就任式は、ファーストレディ、ローラ・ブッシュ大統領夫人が臨席していたものであるが、何よりも重要なのは、ダイブル氏の同性のパートナー、ジェイソン・クレア氏(Jason Claire)が持つ聖書に対して、新大使に就任したダイブル氏が宣誓を行ったことである。しかもライス長官は、同席していたジェイソン・クレア氏の母親を「ダイブル氏の義理の母」(mother-in-law)と呼び、「あなたは素晴らしい家族をお持ちですね、マーク」と発言した。
『ポスト』紙は、このセレモニーはちょっとした歴史的な出来事だ、と記す。

Mark R. Dybul was sworn in as the new AIDS coordinator by Secretary of State Condoleezza Rice in the ornate Benjamin Franklin Room at the State Department in a little-noticed ceremony last October. But that ceremony marked a bit of history itself.


Dybul is openly gay. His partner, Jason Claire, held the Bible as Dybul took the oath. And in acknowledging Dybul's family in her remarks, Rice specifically mentioned his "mother-in-law." "You have a wonderful family to support you, Mark," Rice said. "Welcome."


↓のYouTube の映像は多分に「論争的」なものとして取り上げられているが──ブッシュ大統領の「結婚は男と女がするものだ」という冒頭の発言も含めて──就任式の様子は伝わるだろう。マーク・ダイブルとジェイソン・クレア、ライス長官、ローラ・ブッシュの姿が映っている。
二人の──ゲイであるという──男性が、公式の場において、「聖書に対して宣誓をするという構図」が歴史的なのである。
Condoleezza Rice Accepts Gay Marriage? - TVTalkShows.com



このマーク・ダイブル(ディブル)氏の OGAC 就任については、『グローバル・エイズ・アップデート』でも紹介されている。

米国:同性愛者の医師が国務省エイズ対策最高責任者に就任 [グローバル・エイズ・アップデート]

ライス国務長官は10月10日、同性愛者の医師マーク・ディブルMark Dybul氏が米国国務省の「地球規模エイズ調整官」Global AIDS Coordinatorに正式に就任することを宣言する宣誓式を開催した。この地位は米国国連大使と同列にあたるもので、エイズ対策における大使級の外交官である。


宣誓式に臨席していたブッシュ大統領夫人は、「ディブル氏は今後150億ドルを拠出する『米国大統領エイズ救済緊急計画』Emergency Plan for AIDS Relief (PEPFAR)を監督することになる」とした。ブッシュ大統領は今年初め、ディブル氏を同調整官に指名し、米国議会の上院は8月3日に満場一致でその指名を支持した。ディブル氏はAIDS治療と予防策の専門家であり、ブッシュ大統領が前任者のランドール・トバイアスRandall Tobias氏を米国国際開発庁(USAID)の長官に指名して以降は、同調整官代理として従事していた。

エイズとの闘い 世界を変えた人々の声 (岩波ブックレット (No.654))

エイズとの闘い 世界を変えた人々の声 (岩波ブックレット (No.654))



ワシントン・ポスト』がとくに指摘するのは、国防総省(Pentagon)の”Don't ask, don't tell”政策の不備である。米軍はゲイの軍人を受け入れた──彼らがゲイであることを言わないかぎりにおいて。しかしそうなると、彼/彼女のパートナー、及びその家族の存在は無視され続けられることになる。もちろんゲイであることをカムアウトした兵士は、除隊させられる。

Don't Ask, Don't Tell: Debating the Gay Ban in the Military

Don't Ask, Don't Tell: Debating the Gay Ban in the Military

Major Conflict: One Gay Man's Life in the Don't-Ask-Don't-Tell Military

Major Conflict: One Gay Man's Life in the Don't-Ask-Don't-Tell Military


一方、国務省においては、ゲイの職員を「公的に」認知している。すなわちマーク・ダイブル氏のように、外交官(級)の大使として派遣される場合、彼/彼女のパートナー・家族にビザを発行し、彼らが公邸に住むことも可能になった。このような変化がもたらされたのは、クリントン政権においてだった。ビル・クリントン大統領は、オープンリー・ゲイのJames C. Hormel氏を、外交官として初めて登用した。

Today, the State Department recognizes and meets with the group Gays and Lesbians in Foreign Affairs Agencies (GLIFAA), which represents about 300 employees. Dybul, a physician who previously worked at the National Institutes of Health's AIDS division, is actually the third openly gay U.S. ambassador. Michael Guest, ambassador to Romania, was the second, but the first as a career foreign service officer.


国務省の広報担当官 L. Kendal Smith によれば、同省は「ジェンダー、民族、人種、性的指向に関して中立(neutra)の立場である」という。



[Ambassador Mark R. Dybul, U.S. Global AIDS Coordinator]


[President's Emergency Plan for AIDS Relief (PEPFAR/Emergency Plan)]

BBC の下記サイトでは、マーク・ダイブルのインタビュー映像を観ることができる。