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伊左派連合の不協和音 Allegro, ma non troppo




中道左派連合が僅差で勝利したイタリアであるが、総選挙後初の国会が4月28日招集される。そして上下両院議長の選出、7年間の任期切れを迎えるチャンピ大統領の後任選びを経て、プローディ新政権の発足は5月中旬以降になるようだ。

新政権発足、5月中旬以降 伊国会、28日招集 [共同通信/goo ニュース]


しかしベルルスコーニ首相は、まだ敗北宣言を拒否している模様。ブローディ氏への祝電も「米国の習慣であってイタリアにはない」と、これまた拒否。
伊首相「反撃」 選挙敗北宣言せず/大統領候補に側近? [産経新聞/goo ニュース]

ベルルスコーニ氏は選挙で勝利した場合、所有する三大テレビなどを友人に譲り、政党党首がメディアの所有者になることを禁止する法律も制定すると公約していた。しかし、敗北した現在、この公約は果たさずに済んだため、メディアを使った新政権に対する攻勢も一段と強めそうだ。プローディ氏は古巣の欧州連合(EU)も巻き込んで、民放テレビへの公社や銀行、保険会社の広告出稿を規制する法案を提出する見通しだが、ベルルスコーニ氏がメディアをあげて法案成立阻止に出ることは明白だ。

ベルルスコーニVSブローディという「指揮」争いはまだまだ続きそう。


ところで、勝利したブローディ率いる左派連合も、どうやら内部対立に見舞われているようだ。日刊イル・マニフェスト紙記者アンドレア・コロンボ(Andrea Colombo)氏が「連立の必然」すなわち「対立の必然」について書いている。

イタリア中道左派連合が抱える内部矛盾 [ル・モンド・ディプロマティーク日本語]

これによると、左派連合内の「穏健派」と「急進派」は、基本政策についてすら分裂しており、ベルルスコーニ首相への敵対心だけが「唯一の求心力」だという。
左派連合「ウニオーネ」は、旧キリスト教民主党の流れを汲むマルゲリータ党と40年間にわたって西欧最大の勢力を誇った旧共産党の直系政党である左翼民主党の「二大政党」、そしてかつてプロディを失脚させた「前科」のある極左共産主義再建党に加え、その他の少数派の政党も、明確な独自性と強固な地盤を持っている。
例えばイラクへのイタリア軍の派兵についても、「穏健派」と「急進派」の主張は大いに異なる。教育問題においても然り。そしてゲイの権利問題についても同様だ。

中道左派は先の議会で、未婚のカップル、特に同性愛者の状況改善を目指す法案の提出を試みたが、「ウニオーネ」の第2政党で、旧キリスト教民主党の流れを汲むマルゲリータ党のルテッリ代表の断固たる反対によって失敗に終わった。ルテッリ代表は一歩も譲らず、ローマ法王庁とルイーニ枢機卿(イタリア司教協議会の会長として強い影響力を持つ)の見解を擁護した。結果、この問題については何も方針が決まらず、議論は選挙後に持ち越されている。

まあ、「左翼」は、対立こそ必然/分裂こそ基盤のようなもので、だからこそ、それを見越した団結力のある右派の「戦術」──例えば「シングル・イシュー」──が功を奏す場合が多いのだろう。
歴史は繰り返すだろうか? 1998年のブロディ内閣が崩壊したように。それとも、穏健派の統合が第1主題を奏でるだろうか。

左翼民主党マルゲリータ党を統合させれば、同じような事態に対する予防線になる。また、これによって穏健左派の一大政党が誕生すれば、彼が党首に納まるのが自然だということになるだろう。


 プロディはこのシナリオに向けて左翼民主党、そしてとりわけ、最初は煮え切らない態度だったマルゲリータ党に圧力をかけ、下院選の候補者名簿を一本化させた。しかしながら、両党は上院選では別個に候補者を立てた。1歩進んでは、2歩下がる。両党のつばぜり合いは縮まるどころか、逆に統合が成った際の主導権をめぐって激化した。マルゲリータ党のルテッリ代表は、中道右派に失望した有権者を引き付けようという野心を隠そうともせず、フォルツァ・イタリアの支持者を(そう遠くない将来に)かっさらうつもりでいる。

[イタリア選挙関連]