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ハズリット箴言集より

ハズリット箴言集―人さまざま

ハズリット箴言集―人さまざま

モンテーニュは、自分の『随想録』を読んで気に入ってくれる読者がいたら、どこの国の誰であろうと、そこへ出向いて感謝の意を表したいと言っていた。ハズリットもこれと同じようなことを言っている。それは文章を自分の生きる証とした人たちに通ずる心であろう。よかれあしかれ、この箴言集の中にハズリットの人生がある。それに共鳴するしないはともかく、彼が命がけで書いた言葉の一つ一つを読んで、人間と人生を思索するきっかけともなれば、稀代の文章家ハズリット、もって瞑すべしであろう。




中川誠  『ハズリット箴言集』翻訳にあたって

ラ・ロシェフコーラ・ブリュイエールと並ぶ、透徹した知性と繊細な感受性、そして鋭敏で辛辣な人間観を持つイギリスのモラリスト、ウィリアム・ハズリット(William Hazlitt、1778-1830)。
その『ハズリット箴言集 人さまざま』(中川誠 訳、彩流社)をパラパラとめくっていたら、面白いのなんの……いや、打ちのめされた。いくつか──自戒を込めて──引用しておきたい。

33
理解の仕方について「鋭い」、「深い」の二種類がある。この違いは次のように言えばよいであろう。
「鋭さとは、事物の核心を摑むことであり、深さとは真実の空気を感じ取ることである。」

135
人間性は論理にまさる。人間性とは、要するに注釈抜きの原典であり論理である。真理を人に説く時、自分がそれを知っている以上に、あるいはうまく説明できる以上に、真理を感ずることができない者こそ憐れむべきである。

201
我々が持つ人間関係は、一つは我々よりも地位が上の者、もう一つは我々よりも能が劣った者、から成り立っている。劣等な者は我々が選ぶし、上の者は必要が決める。上に頭を下げることは我々の利害が命ずるが、そのかわり下の忠義が我々の自尊心を慰めてくれる。

232
友人と久しく会わなければ我々は彼らを忘れる。たえず一緒にいれば彼らを軽蔑する。

250
私が何よりも嫌いなのは、真実と自然の感情に逆らうような常識を持ちだされることである。

301
人の愚かさを見て我々が学ぶことのできる最良の教えは、それを見て腹を立てないことである。

308
たとえ善が、単なる理論の一つにすぎないとしても、それがこの世から消えてしまったら、どんなに悲しいことだろう!

374
気のきいた言葉に反対を唱える者は、それをねたんでいるのだ。

422
口を開けば改革を唱える者たちは改悪も平気でする。善行と見えるものの中に残忍がたっぷり貯えられていることが、しばしばある。

Selected Writings (Oxford World's Classics)

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