HODGE'S PARROT

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狼のソナタ エレーヌ・グリモー BOX SET



天下のドイツ・グラモフォン(ユニバーサル・ミュージック)に移籍したエレーヌ・グリモー。コロンビア(デンオン)時代の初期録音が、Brilliant Classics レーベルから5枚組のボックスセットで出ていた。

Helene Grimaud Plays (Rpkg)

Helene Grimaud Plays (Rpkg)

Brilliant Classics は、他レーベル音源をライセンスして販売しているので、とっても廉価。5枚組で1990円という驚きの価格だ(タワーレコードでのプライス)。何曲かダブりがあるが、何しろこの値段なので、購入した。

ちなみに、グリモーってどんな人? って、こんな人↓

Helene Grimaud: Artist Portrait

Helene Grimaud: Artist Portrait

Concerto No.4 Sonatas Opp. 109 & 110

Concerto No.4 Sonatas Opp. 109 & 110

Rachmaninov: Piano Concerto No. 2

Rachmaninov: Piano Concerto No. 2


で、この Brilliant Classics の5枚組のボックス。収録されている楽曲が、シリアスで「ハード」なものばかり。そのうちの1枚が協奏曲で、ラフマニノフの2番とラヴェルの「両手」(唯一「明るめ」の作品か)。ま、これら2曲は、たしかに難曲だが、有名曲だし、多くのピアニストのレパートリーになっているもの。
他の曲はソロで、まさにこのフランス人ピアニストの「好み」がわかるような選曲だ。
超超絶技巧のラフマニノフピアノソナタ2番、同じくラフマニノフの練習曲『音の絵』作品33、プレリュード2曲。地獄のイメージを音楽化した重低音が轟くリストの『ダンテソナタ』。ブラームスの重量級の2番、3番ソナタ、それにあまりにも渋い「6つのピアノ小品」作品118。シューマンは2曲収録されていて、有名な『クライスレリアーナ』はいいとして、もう1曲が大規模で一筋縄ではいかない晦渋なソナタ1番。これら重厚長大な作品──ソナタ、もしくはソナタ形式の大作が多い──に混じって1曲だけ「定番の」ショパンのバラード1番が入っている、というもの。聴き応え十分、彼女のピアニズムを堪能できる。

そしてぜひ触れておきたいのは、BOX(箱)とCDに描かれている「狼」のイメージ。 Brilliant Classics はただ安いだけではない。ちゃんとアーティストのことがわかっている。そう、エレーヌ・グリモーと言えば狼。彼女はオオカミに魅せられ、その獣と触れ合い、そして「オオカミ保護センター」を運営している女性なのだ。


[Wolf Conservation Center]


狼とピアノ……In discord and rhyme。そのことを綴ったグリモーの著書『野生の調べ』も出版、邦訳されている。

野生のしらべ

野生のしらべ

Wolfssonate

Wolfssonate



Music is about emotional communication. Give it a try, and don't think you have taken the wrong road when perhaps you just have not gone far enough. After all, what is come does not need to be discovered so much as invented"



Hélène Grimaud

[Hélène Grimaud's website]


[エレーヌ・グリモー UNIVERSAL CLASSICS]