シマノフスキのマストバイ／マストバイのシマノフスキ

カロル・シマノフスキのピアノ独奏曲集＆ヴァイオリンとピアノのための作品集が EMI から再発売された。二枚組みのバジェットプライスでだ。螺旋階段のジャケットカヴァーも印象的で、シマノフスキの官能的で眩暈を誘うような作風にとても合っている。

Piano Works / Works for Violin & Piano

ピアノ独奏曲のプログラムは、

• 12の練習曲 作品33
• メトープ 作品29
• 仮面劇 作品34
• 3つのマズルカ 作品50
• 2つのマズルカ 作品62

演奏者はミハイル・ルディ（Mikhail Rudy）。ルディは、繊細にして優美、耽美でエロティック、しかし超絶技巧なシマノフスキの作品群を、まったく理想的に再現してくれる。

ピアノとヴァイオリンのほうは、

• 神話（アレトゥーザの泉、ナルシス、ドリアデスとパン） 作品30
• ロマンス 作品23
• 3つのパガニーニのカプリース 作品40
• ノクターンとタランテラ 作品28

演奏はミシェル・ベロフとウルフ・ヘルシャー（Ulf Hoelscher）。ベロフがシマノフスキーを録音していたことは知らなかった。 Ulf Hoelscher も初めて聞いたヴァイオリニストだが、演奏は素晴らしい──多少ベロフのピアノが生々しいきらいがあるけど。

『神話』は「アストゥーザの泉」ばかりが有名で、これはいろいろとディスクが出ているのだけれども、「ナルシス」「ドリアデスとパン」はあんましＣＤが出ていないんだよね。「muza」のディスクはもってるが、奏者のテクニックがね……。
だからベロフとヘルシャーのこのＣＤはお奨めだ。録音もいいし。

そして、初めて聴いた「3つのパガニーニのカプリース」が、とてもよい曲だった。例のパガニーニのカプリース24番を、ピアノとヴァイオリンで編曲しているのだけれども、これがまさしくシマノフスキー的とも言える甘美で印象派のような音楽になっているのだ。しかも、ヴァイオリン・パートさえもいじっている大胆不敵ぶり。

シマノフスキについては、「ウィキペディア」にやけに詳しい紹介がある。

• カロル・シマノフスキ [Wikipedia ja]

ただ、この「日本語版ウィキペディア」に書いていないことがある。それはシマノフスキがゲイであることだ。

• Szymanowski, Karol Maciej (1882-1937) [glbtq Encyclopedia]
• KAROL SZYMANOWSKY [I GAY NELLA STORIA, oliari.com]
• Gay Poland

Further south in the southern Tatra mountains is the resort town of Zapokane where one of Poland’s most illustrious gay classical music composers Karol Szymanowski (1882-1937) lived. His beautiful wooden house (left) stands now as a museum in his honor. He is revered as the father of contemporary Polish classical music. A rich, talented and handsome aristocrat he was a key figure in the social swirl of pre WW1 Berlin and Vienna.

• Karol Szymanowski [Wikipedia en]

Fruits of these trips included not only musical works, but his pederastic poetry and his novel Efebos, parts of which were subsequently lost in a fire in 1939, though not the central chapter, which was translated by him into Russian and given as a gift in 1919 to Boris Kochno, his 15 year old beloved. Of it, Szymanowski said, "In it I expressed much, perhaps all that I have to say in this matter, which is for me very important and very beautiful." It remains available in a German translation as Das Gastmahl: Ein Kapitel aus dem Roman Ephebos, Berlin, 1993. He died in a sanatorium in Lausanne, Switzerland while suffering from tuberculosis.

まあ、作品がギリシャ的なものへの「憧れ」に満ちているし、歌劇『ロジェ王』もズバリ！いい雰囲気だ。

King Roger / Symphony 4