断トツのイケメン・ヴァイオリニスト、ジュシュア・ベルのインタビューが『レコード芸術』(2005年9月号)に載っていた。
注目したいのは、彼の楽曲に対する「解釈」についての発言だ。ベルは最近、チャイコフスキーの協奏曲をマイケル・ティルソン・トーマス&ベルリン・フィルと再録音した。
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前回の録音では「伝統的な」カットを施した。しかし今回は、作曲者チャイコフスキーの「オリジナル」に忠実なものだという。
──私の印象では、お2人とも(ベル、ティルソン・トーマス)典型的なチャイコフスキー解釈とは一定の距離を置いているように感じたのですが……。
ジョシュア・ベル 私はもはや伝統的という言葉の意味づけが困難な時代に入っていると思うのです。何よりいわゆる「伝統的解釈」というものは、作曲者が本来望んでいたものと一致しない。テンポをはじめ詳細な指示というものが「伝統的解釈」で守られているでしょうか? 先ほどもお話したカットの問題についてもしかり。今日ではカットを施さないのが一般的になりつつあります。
また、ロジャー・ノリントンとモーツァルトの演奏をする場合ピリオド楽器の奏法は意識するか、という質問に対して、ベルはこのように応える。
私の楽器が作られたのはモーツァルトが生まれる前です。その意味ではピリオド楽器ですが(笑)、もちろん弓は違います。
知識としてはヴィブラートをはじめとする音の奏法を知ることは大切です。その意味ではノリントンはきわめて大きな影響を与えてくれた。でも私は音楽に対して常に正直な気持ちで望むことが大切だと考えます。
今日ではオーセンティックということにこだわりすぎて、様式化してしまう傾向がある。グレン・グールドのピアノ演奏を聴くとよくわかると思いますが、素晴らしい音楽というものは様式を超越する存在なのです。役者でいうならば、その役柄に与えられた方言にこだわりすぎて、肝心の演技がおろそかになってはつまらない。それと同じことが音楽についてもいえるのです。
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[ジョシュア・ベル 関連サイト]
ベルは『レッド・バイオリン』や『アイリス』など映画音楽にも積極的。本人も映画が大好きだそうだ。 Imdb にも載っている。
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