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ドゥルーズ  没後10年、入門のために



KAWADE道の手帖」という叢書の一冊『ドゥルーズ』(河出書房新社)購入。
「はじめての読者のためのドゥルーズ哲学入門」「ドゥルーズ完全著作解題」「ドゥルーズを読むためのブックガイド」など、ドゥルーズ入門にうってつけの内容。なにより軽快で気軽に読める。カヴァーのドゥルーズの表情もいい。

ドゥルーズ KAWADE道の手帖

ドゥルーズ KAWADE道の手帖


また、酒井隆史×萱野稔人×松本潤一郎の討議『管理権力から「来るべき民衆」へ』は、とても興味深い話題を展開している。さらに高祖岩三郎『巷のドゥルーズ──あるいは「活動」から「運動」への途』は、最近の『現代思想』での刺激的な連載「闘う情動の街角」とも相俟って、目が離せない。

80年代初期、ニューヨークの出版界では、Semiotext(e)/Autonomedia という合併出版組織が重要な出来事であった。これは、コロンビア大学フランス文学科教授のシルベール・ロトリンジェとブルックリンのウィリアムズバーグでアウトノミアや地元の活動家(アクティヴィスト)のテクストの紹介を中心にマイナーな出版活動を開始したジム・フレミングの特異な出会いに依っている。これはハイブラウなフランス理論の読解と活動家(アクティヴィスト)の言葉の類い稀な雑婚(ハイブリッド)であり、それらを網羅する安価で手に入れやすい「黒い小冊子のシリーズ」は巷の光景の一部となった。


D/Gの名はここから巷に広まって行った。このジャーナリズムは学者世界(アカデミア)を超えてスクワッター運動、マイノリティ運動、ゲイ/レズビアン運動、新たな画廊シーンが交差するイースト・ヴィレッジの政治/文化と呼応し浸透していった。これがニューヨークの活動家世界(アクティヴィスト)とドゥルーズの出会いの始まりであった。


それに対して、美学、建築理論、都市論、メディア論、身体論、先端的科学に焦点をあてた、より高度な理論プロパーな出版社ZONEが、1980年代中期に出発する。デザインに凝ったオブジェを目指す装丁で、大手出版社MITと提携し、現代的なテーマに沿った論集および、ドゥルーズガタリ縁りの古典を出版していく、これが当時の美学、建築理論に大きな影響を与えていくこととなった。つまりここから「巷のドゥルーズ」と「大学のドゥルーズ」の二つのドゥルーズが存在することになった。



高祖岩三郎『巷のドゥルーズ──あるいは「活動」から「運動」への途』p.103


Desert Islands: and Other Texts, 1953?1974 (Semiotext(e) / Foreign Agents)

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In the Shadow of the Silent Majorities (Semiotext(E) Foreign Agents Series)

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Gilles Deleuze: An Introduction

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Deleuze And Geophilosophy: A Guide And Glossary (Deleuze Connections (Paperback))

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Pure Immanence: Essays on A Life (Zone Books)

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