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Gay.com のアンドレア・ドウォーキン追悼記事より



先月のニュースだが、ラディカル・フェミニズム有数の理論家であったアンドレア・ドウォーキン(Andrea Dworkin)が、4月9日、死去した。58歳であった。

Feminist Andrea Dworkin dies at 58 [Gay.com]

『インターコース 性的行為の政治学』や『ポルノグラフィ―女を所有する男たち』などの著書で知られるアンドレア・ドウォーキンは、何よりもまず、反ポルノグラフィ運動家の旗手として──ときにマルコムXにも比される過激さで──有名だと思う。
例えば『インターコース』(青土社)には、「国際フェミニスト反ポルノグラフィ運動の友人たち」や盟友であるキャサリン・A・マッキノンらへ向けて以下のような謝辞が記されている。

私は、闘志と共感を持って、女の自由のために闘っている世界各地のフェミニストの活動家や作家を知る機会に恵まれました。誇りをかきたてていただいたことで、この方々に対し、一人の女として感謝しています。

また有名な彼女のポルノの定義──ポルノはレイプを計画し、それを実行に至らせる。

"Pornography is used in rape -- to plan it, to execute it, to choreograph it, to engender the excitement to commit the act," Dworkin testified before the U.S. Attorney General's Commission on Pornography in 1986, according to a transcript on her Web site.

しかし、この Gay.com の死亡記事を読むまで、彼女が同性愛者であったことは知らなかった(そうでなかったら、なぜ、Gay.com にこんな「長文の」追悼記事が載るのか)。

しかも記事によると、ドウォーキンは、ジョン・ストルテンバーグ(John Stoltenberg)と1974年に同棲を始め、1998年に結婚している。John Stoltenberg はゲイである。つまりドウォーキン&ストルテンバーグ夫妻は、レズビアンとゲイのカップルだったのだ。

この Anita Chang 氏の記事によると、ドウォーキンは男性による女性の性的支配、性的虐待、性的搾取を厳しく訴えてきたが、しかし彼女は決して男性を憎んでは(hate)いなかったという。

重要なのは、ドウォーキン自身の様々な「経験」──売春、レイプ被害、DV──が、彼女を反ポルノグラフィー運動へと向かわせ、女性に対する暴力を告発し、そのことがフェミニズム運動の重要な一面を担ってきたことだ。彼女は、18歳のとき、反ベトナム戦争運動によって逮捕される。その刑務所の医者によって性的被害を受ける。その後(ジョン・ストルテンバーグとは別の男性と)結婚したが、その夫に暴力を振るわれ、レイプされた。

ドウォーキンは、2001年、"Scapegoat: The Jews, Israel and Women's Liberation,"でアメリカン・ブック・アウォード(American Book Award)を受賞、名声と広範な読者を獲得した。死去したとき、彼女は、"Writing America: How Novelists Invented and Gendered a Nation,"というタイトルの本を執筆中だったと、夫のストルテンバーグ氏は述べた。


ドウォーキン自伝

ドウォーキン自伝

ポルノグラフィ―女を所有する男たち

ポルノグラフィ―女を所有する男たち

インターコース―性的行為の政治学

インターコース―性的行為の政治学

Intercourse (Free Press Paperbacks)

Intercourse (Free Press Paperbacks)

ドウォーキンのパートナーでもあったジョン・ストルテンバーグもセクシュアリティに関する著作を上梓しており、翻訳もあるようだ。

男であることを拒否する

男であることを拒否する

The End of Manhood: Parables on Sex and Selfhood

The End of Manhood: Parables on Sex and Selfhood

Refusing to be a Man: Essays on sex and justice

Refusing to be a Man: Essays on sex and justice

英ガーディアンの死亡記事
Feminist icon Andrea Dworkin dies [Guardian]

The drive of Ms Dworkin's writing and activism was to break the silence around violence against women, but her wider career saw her become a figure of adulation and loathing in equal measure. To opponents she was an archetypal man-hater, killjoy and proponent of censorship, but supporters rallied to her impassioned lectures and books. Gloria Steinem, a fellow feminist, said she was one of a handful of writers each century "who help the human race to evolve".