HODGE'S PARROT

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ガンサー・シュラーが解説を書いていた!

先日も書いたように、ここのところアナログレコードの「アウラ」を楽しんでいる。
アウラ」と書いたのは他でもない。回転するドーナツ盤を眺めながら、アナログサウンドに耽っていたら、突然、かつてよく行った「名曲喫茶」のことが思い出されたからだ。
例えば、中野にあった「クラシック」。店内は雑然としていて、お世辞にも「綺麗」だとは言えない。コーヒーもたいして美味かったわけではない──印象に残っているのは、ミルクが「何かの蓋」に入れてあったことだ。しかし、その古びた店には、なんとも言えない「趣」があって、そこで音楽を聴きながら時間を潰すのがとても好きだった。
新宿歌舞伎町という喧騒のど真ん中あった「スカラ座」にもよく行った。ここって確か「メイド服」の店員だったよな。それと渋谷円山町の「ライオン」──ここで聴いたラフマニノフ交響曲第二番が不思議とよく覚えている。

やっぱりレコードっていいな……。と、またLPレコードを買いに出かけた。で、今回は、せっかくだから、クラシック音楽ばかりでなく、これまでまったくと言ってよいほど聴いてなかったジャンル──ジャズ──も聴いてみようと、何枚か仕入れてきた。

その中の一枚。リー・コニッツLee Konitz)の『デュエット』(マイルストーン)。リー・コニッツといっても実は全然知らなくて、ジャケットがよさげだったのでチョイスしただけだ。
しかし解説を読んでいて驚いた。その解説、作曲家のガンサー・シュラーが書いていたのだ。
シュラーは、わりと好きな作曲家で、その作風は──『パウル・クレーの主題による7つの習作』『ピアノ三重奏曲』のレビューでも触れたように──ジャズとクラシックを融合した独特の「技法」で知られている。「第3の流れ」(Third stream)を提唱したことでも有名だ。

そんなジャズと親和性のある「現代音楽作曲家」が、リー・コニッツの楽曲解説を書いているのは、別に不思議でもなんでもない。が、なんとなく「めぐり合わせ」のようなものを感じた──あのジャケットには、「オーラ」があったということだろう。
ついでながら、ガンサー・シュラーは、リー・コニックをこのように評している

彼の楽歴は、1940年代前半のバップ革命への参加にはじまっている。
チャーリー・パーカーレニー・トリスターノのコンセプションを合成するところから、彼のイノベーションは始まった。トリスターノの、ピアノによりポリフォニック・スタイルを、美事にサックスに翻訳してみせたのである。約20年も昔の話である。
彼が信奉しつづけたのは、ジャズに最初に彼をひきつけた、バップ初期の熱情みなぎる理想主義だったのである。


油井正一訳)

Lee Konitz Duets

Lee Konitz Duets