HODGE'S PARROT

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ルーヴル美術館の(ほとんど)最後の時間

今回のパリ旅行、わりと余裕があったのでルーヴル美術館の閉館間際の様子も「見学」してみた。 午後5時45分。閉館15分前の美術館内。職員の人たちが集まって閉館の準備を──これ以降、そちらへはいけませんよ、と。それにしてもアルチンボルドの傑作4点が揃っ…

鉄とガラスの建物と装飾品売買のグラン・パレ

共和制になってからのパリは、78年、89年、そして1900年と万博の開催を続け、1889年のエッフェル塔に象徴されるように、次第に恒久的な建築が造られるようになる。 1900年の万博では、美しいガラス屋根のグラン・パレが、世界の美術と装飾芸術の展示館として…

ルーヴル美術館で最も美しい絵 イポリット・フランドラン『海辺に座る裸体の青年』

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昨年12月と9月のパリ旅行でルーヴル美術館は、ほぼ制覇した。それによって以下のように「総括」してみたい──ルーヴル美術館で最も美しい絵画作品、それはフランス新古典派の画家イポリット・フランドラン作の『海辺に座る裸体の青年』である、と。 Jean Hipp…

「怖い絵」がいっぱい! ルーヴル美術館

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先日ツイートしたが、ルーヴル美術館で見つけた「怖い絵」についてまとめておきたい。 なんといってもこの絵だ。ヤン・プロヴォスト(Jan Provoost/Jan Provost、1462/5 - 1529)の『キリスト教の寓意』(Allégorie chrétienne/Allegory of Christianity)…

パリ2010 クリュニー中世美術館

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僕は、ルネサンスのイタリア芸術──つまりミケランジェロ至上主義者であるのだけれど、パリに行く直前に木俣元一 他『パリ 中世の美と出会う旅』(新潮社)を読んで*1、中世美術に心ときめいた。*2。 この本で紹介されている場所はぜひ訪れなくては、と心に決…

パリ2010 ポンピドゥー・センターとマレ地区

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その建物からして現代アートしているポンピドゥー・センター(Centre Pompidou)*1。まずはレンゾ・ピアノ(Renzo Piano、b.1937)とリチャード・ロジャース(Richard Rogers、b.1933)の設計による建築作品を十分に鑑賞した。 そしてピエール・ブーレーズと…

パリ2010 ギュスターヴ・モロー美術館

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メトロ12号線Trinité - d'Estienne d'Orves 駅周辺は閑静な地区であった。目の前にはサント・トリニテ教会(Église de la Sainte-Trinité)が白く輝いていた。 この雪のように白いサント・トリニテ教会から歩いて数分のところに、ギュスターヴ・モロー美術館…

パリ2010 ルーヴル美術館1

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ルーヴル美術館(Musée du Louvre)には2日間行った。ミュージアム・パスを使用したのでチケットを買うのに並ばずにすんで、ちょっと疲れたら(腹が減ったら)、地下のショッピングセンター、カルーゼル・デュ・ルーヴルの食堂で食べたいものを自由に選んで…

ブザンソン劇場の内側を映す眼

Twitter でお世話になっている Hadaly さんのアイコンが最近変わった。それは強烈な印象を与える「眼」の画像であった。しかも、それをどこかで見たような気が……既視感を覚えた……とても気になり、なんだか落ち着かなくなった。何の画像なのか訊ねようと思っ…

ロビン・ロードとアンスネスのブリテン、ショスタコーヴィチ&エネスコ

『レコード芸術』2009年7月号にノルウェーのピアニスト、レイフ・オーヴェ・アンスネス(Leif Ove Andsnes、b.1970 - )のインタビュー記事が載っていた。とくに、その中で、南アフリカのヴィジュアル・アーティスト、ロビン・ロード(Robin Rhode、b.1976)…

アリス・アデールのフランク作品集

Chamber Music (Dig)アーティスト: Franck,Ader出版社/メーカー: Fuga Libera Label発売日: 2005/09/27メディア: CD購入: 2人 クリック: 14回この商品を含むブログ (1件) を見るフランスのピアニスト、アリス・アデール(Alice Ader、b.1945 -)によるセザー…

ジュール・バスティアン=ルパージュの『アキレスとプリアモス』

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アリス・アデールのフランク作品集のカヴァーを飾っている、フランスの画家ジュール・バスティアン=ルパージュ(Jules Bastien-Lepage、1948 - 1984)。印象派風の風景画を主に描いている人なのかな、という印象を持っていたが、ネットで調べたら、すいぶん…

フェリス・ピカーノ 〜 THE NEW JOY OF GAY FICTION

やっと時間が取れて、ネットで本の情報を得て、それを「はてなブックマーク」のコレクションに加えようとしていた──もちろんカヴァー中心のセレクト、もちろん(見ればわかるように)ゲイ関連の本だ。 Like People in Historyhttp://www.amazon.com/dp/01402…

クイウス・レギオ、エイウス・レリギオ

ローマ・カトリック教会の歴史作者: エドワードノーマン,百瀬文晃,Edward Norman,月森左知出版社/メーカー: 創元社発売日: 2007/12/01メディア: 単行本 クリック: 11回この商品を含むブログ (5件) を見るエドワード・ノーマン著『ローマ・カトリック教会の歴…

ベルニーニのエクスタシー

ジャン・ロレンツォ・ベルニーニ(Gian Lorenzo Bernini、1598 - 1680)も好きなアーティストで、あの滑らかな質感と独特の「表情」をもつ彫刻作品の数々は神業だな、と思う。で、そんなベルニーニの『アポロンとダフネ』をカヴァーに使用したCDをラックか…

流れよ、我が涙

カウンターテナー、アルフレッド・デラー(Alfred Deller、1912 - 1979)の動画が YouTube にいくつか挙がっていた。デラーは、「カウンター・テノール」という声域を20世紀に復活──あるいは新生させた歌手だ。ベンジャミン・ブリテンのオペラ《真夏の夜の夢…

GJ! ヘレン・マクロイの『幽霊の2/3』が新訳で!

あの幻のミステリー、ヘレン・マクロイ(Helen McCloy、1904 - 1994)の『幽霊の2/3』(Two-Thirds of a Ghost、1956)が新訳で創元推理文庫より刊行される。via.BaddieBeagle さんより。Two-Thirds of a Ghost by Helen McCloy / Vintage Mystery Covers […

記憶屋ジョニー

先日、ロバート・ロンゴ/Robert Longo と「スーツ・ノワール」についてちょっと書いたが……そうだ、ロンゴといえば、彼が映画監督として撮った映画を観た記憶が甦った。『Johnny Mnemonic』(ジョニー・ネモニック)、略して『JM』。ウィリアム・ギブスン(W…

「物質偏重主義第二番」と「スーツ・ノワール」

きれいな猟奇―映画のアウトサイド作者: 滝本誠出版社/メーカー: 平凡社発売日: 2001/09/01メディア: 単行本 クリック: 6回この商品を含むブログ (10件) を見るフィルム・ノワールで思い出して、滝本誠の『きれいな猟奇』(THIS SWEET SICKNESS)を読み返した…

ブラームス-ファンタジー

カルロ・マリア・ジュリーニ指揮&ロサンジェルス・フィルハーモニック管弦楽団による、ブラームスの交響曲第1番ハ短調 Op.68 を聴く。ジュリーニのブラームスと言えば、ウィーン・フィルとの演奏のほうが有名だと思うが、LA Phil との1982年の録音も僕は気…

マーラー版《死と乙女》と《セリオーソ》

グスタフ・マーラーの編曲による弦楽四重奏曲の傑作──シューベルトの《死と乙女》D.810 とベートーヴェンの《セリオーソ》Op.95 を聴いた。演奏は、マルコ・ボーニ/Marco Boni 指揮、コンセルトヘボウ室内管弦楽団(ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団のメ…

人民服のダビデ、ソックスを履いたアダム

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AFPのこの記事にグッときた。 ルネサンス美術のヌードに服着せ、中国政府の検閲に抗議 [AFP] 中国政府の「低俗サイト」取り締まりキャンペーンに対する抗議のしるしとして、中国のインターネットユーザーたちが、ルネサンス美術の裸体像や裸体画に「服を着せ…

「シューベルトの」幻想 / White on White

やっぱり……アドルノって嫌いかもしれない(笑)。 最後の休みなので──昨日はバーゲンで疲れたので──今日はじっくりと大好きなシューベルトの音楽を聴いた。 まずは、ルノー&ゴーティエ・カプソンとフランク・ブラレイによる《ピアノ三重奏曲》。Schubert: P…

メンデルスゾーン《エリア》

2009年はフェリックス・メンデルスゾーン(Felix Mendelssohn、1809 - 1847)の生誕200周年にあたる。ということで、普段なかなか聴きとおせないメンデルスゾーンの大作、《エリア/Elias》Op.70 を聴いた。旧約聖書の『列王記』に登場するユダヤ人の預言者…

メータ&LA Phil の『不滅』『法悦の詩』

ズービン・メータ指揮、ロサンゼルス・フィルハーモニー管弦楽団による、カール・ニールセンの交響曲第4番『不滅/The Inextinguishable』とアレクサンドル・スクリャービンの『法悦の詩/Le poème de l'extase』をカップリングしたCDを聴いた。若き日のメ…

牧神の午後への前奏曲

クロード・ドビュッシーの《牧神の午後への前奏曲》をバレエ化した映像が YouTube にあった。かの有名なヴァーツラフ・ニジンスキー(Vaslav Nijinsky、1890 - 1950)の振り付けによる『牧神の午後』(L'après-midi d'un faune)を再現したもののようだ。 L'…

ラ・スペコラ美術館

マーガレットさんより、ジジェクの『快楽の転移』(The Metastases of Enjoyment)の表紙はラ・スペコラ博物館(Museo di storia naturale sezione di zoologia La Specola)にある蝋細工解剖学模型だと教えていただいた。ありがとうございます。実は前から…

ジョットとその遺産展@損保ジャパン東郷青児美術館

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チマブエ、画壇に不抜の地位を保とうと思ったが、今やジョットの呼声かまびすし。よって前者の名声はかすむ。 ダンテ『神曲』(寿岳文章 訳、集英社『世界の文学 古典文学集』より) p.408 と、ダンテも『神曲』の「煉獄篇」第11歌で触れているジョット・デ…

ジョン・エヴァレット・ミレイ展とバリー・ウインザー=スミス

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ジョン・エヴァレット・ミレイ展@Bunkamuraザ・ミュージアムに行ってきた。《オフィーリア》を始め、↓ の Youtube で紹介されている作品の多くを見ることができて、とても満足した。 John Everett Millais 今回の展覧会でとくに印象的だった作品をいくつか…

フレデリック・レイトン

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イカロスといえば、フレデリック・レイトン(Frederic Leighton、1830-1896)の《イカロスとダルダロス Icarus and Daedalus》だな、やはり。 イタリア美術至上主義者の僕であるが、レイトンはいい──というかレイトンは「イタリア風」の画風を持つ画家だよね…