HODGE'S PARROT

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Christianity

愉しい疑似問題 〜 映画『ダ・ヴィンチ・コード』

映画『ダ・ヴィンチ・コード』を今頃になって観た。10年以上前に公開されたヒット作で、ダン・ブラウンの小説もベストセラーになっているので、ミステリーであるが内容をある程度明かしながら以下に映画を観た感想を。人類史上最大の謎を解く!映画『ダ・ヴ…

「福音の受肉」と学問に対する「連帯責任」

北森嘉蔵の『神学入門』に附録された『神学短章』のいくつかの文章より、キリスト教信仰とキリスト教神学、および、一般信徒と神学者/宣教者の関係について、そこで教え説かれていることをまとめておきたい。内容は、以前『神学入門』について書いたこと(…

「ギリシャ語が下手だから、ユダヤ人が書いた?」

「福音書」解読 「復活」物語の言語学 (講談社選書メチエ)作者: 溝田悟士出版社/メーカー: 講談社発売日: 2013/10/11メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (4件) を見る溝田悟士の『「福音書」解読 「復活」物語の言語学』は聖書学に関する…

「日本人のためのキリシタン入門書」を書き「日本人のための反キリシタン入門書」も書いた不干斎ハビアン

不干斎ハビアンの思想:キリシタンの教えと日本的心性の相克作者:梶田 叡一発売日: 2014/04/11メディア: 単行本つい最近まで不干斎ハビアン(1565 - 1621)という人物についてまったく知らなかった──それは後で引用する山本七平(イザヤ・ベンダサン)の著名…

「むさぼりの心」 〜 ルターの罪悪感

小牧治、泉谷周三郎の『人と思想 ルター』より。マルティン・ルターの「使徒パウロの『ローマ人への手紙』についての講義」(ローマ書講義)で示される宗教改革的思想。そこには罪とその赦しにおける新たな認識が挙げられる──すなわち、それによってローマ・…

パコミウスのルール Do not let two brothers ride the same donkey

佐藤彰一『禁欲のヨーロッパ 修道院の起源』より。「禁欲」というキリスト教修道制に端を発する心性は、何よりもまず、ギリシア・ローマ的価値観に基ずく規範に対する抵抗であり、単に個人的な妄想の克服というよりも一種の文化闘争の色合いを帯びていた。禁…

グルントヴィークス教会

デンマークのコペンハーゲン郊外にある、グルントヴィークス教会(Grundtvigs Kirke)。パイプオルガンをモチーフにした独特の外観、ステンドグラスなどが一切使用されていないシンプルな内部空間は、それだけで完璧だった。 コペンハーゲン北郊の住宅地開発…

サン・ルイ・アン・リル教会

パリのサン・ルイ島にある、サン・ルイ・アン・リル教会(Église Saint-Louis-en-l'Île)。1664年から1726年にかけて建造されたフランス・バロック様式の教会。 Flickr のサン・ルイ島周辺の写真→ http://www.flickr.com/photos/hodge999/sets/7215763160149…

「労働大衆は、革命をあえて起こすためにみじめでなければならない」

1966年にオランダ司教団によって編纂されたキリスト教の教理指導書 De Nieuwe Katechismus/Dutch Catechism における、「救いへの非キリスト的な努力」としてのマルクス主義(および社会主義、ヒューマニズム)に対する視点──信念の相違について。 西洋のヒ…

トマスから修道士ヨアネスへ

ドミニコ会の若い修道士へ向けたトマス・アクィナスの学問の心得。Thomas Aquinas, Epistola exhortatoria de modo studendi / A Letter on the Method of Study 「キリストにおいてわが親愛なるヨアネスよ、あなたは知識の宝庫から何ものかを勝ち得るために…

フランシスコとフランシスコ学者とは峻別されなければならない

「原初の無垢のことを忘れてはいけない」と語りかける、無垢に通じる名前を持つ教皇とローマ教皇庁という制度の両義性 アシジの聖フランシスコと聞けば、すぐさまフランコ・ゼフィレッリ監督1972年の伝記映画『ブラザー・サン、シスター・ムーン』を思い浮か…

サン・メリ教会

ポンピドゥー・センター、IRCAM、イゴール・ストラヴィンスキー広場などのモダンなパリを象徴する場所に、なんとなく古びたサン・メリ教会(Église Saint-Merri)は建っている。 フランボワイヤン・ゴシックの教会堂は1612年に完成したが、小塔の鐘は1331年…

秘密

G・K・チェスタトンの『ブラウン神父の秘密』(The Secret Of Father Brown)を久しぶりに読み返した(他の短編も読み返そうと思う、何しろブラウン神父ものってミステリに興味を覚えたほとんど最初期に読んだものだし、したがってほとんど内容を忘れている…

”教会側は、いつもこの手をとる”

酒井健の著書『ゴシックとは何か 大聖堂の精神史』を読んでいて(読み返していて)、ちょっと記憶に留めておきたい「事例」があった──この著書では教会、すなわちキリスト教の布教戦略として興味を惹く事例なのだが、他の、例えば他の様々な「政治的な」文脈…

サント=クロチルド教会とゴシック・リヴァイヴァル

以前、パリに行ったときに、かねてからの念願だったモンパルナス墓地にある、敬愛する作曲家セザール・フランク(César Franck、1822 - 1890)の墓を訪れた。6月、今度は、そのフランクが死の年まで教会オルガニストを務めていたサント・クロチルド教会(Bas…

主よ、私の目を見えるようにしてください 〜 まことの神にしてダビデの子である君よ

ヨハン・セバスティアン・バッハのカンタータ《汝まことの神にしてダビデの子よ Du wahrer Gott und Davids Sohn》BWV23 を聴いた。演奏は、カール・リヒター指揮、ミュンヘン・バッハ管弦楽団&合唱団、エディット・マティス(ソプラノ)、アンナ・レイノル…

「死せる犬」を否定する あるべき姿の神学を求めて

1959年に新教出版社より初版が刊行された、北森嘉蔵『神学入門』の復刻版を読んでいる。著者である北森嘉蔵はルーテル教会で受洗し、日本基督教団に所属──つまりプロテスタントの牧師である。彼は「神の痛みの神学」を提唱し、1946年に同名著書を発表してい…

なぜプロレタリアはインターナショナルになるか

「地政学を英国で学ぶ」でバラク・オバマ大統領の演説について「そのすごさ」が明快に指摘されていた。 どうすごいかというと、欧米で国際関係論を多少学んだ人ならおわかりのように、彼はリアリズムの議論(とくにニーバーの得意とする道徳論)を使って、人…

米福音ルーテル教会、ゲイの聖職者を認める

キリスト教の、そしてプロテスタントの主流も主流*1──マルティン・ルターの宗教改革の流れを汲むルター派である──アメリカ福音ルーテル教会(Evangelical Lutheran Church in America、ELCA)は21日、新たな改革(チェンジ!)を行った。ゲイやレズビアンで…

コンシャンス

増田祐志 編『カトリック神学への招き』の実践神学-倫理神学より、〈良心〉についてメモしておきたい。まずは〈良心〉なるものについて。 良心は、人格的存在としての人間の深奥に生得的に刻み込まれている。それは存在論的に人間存在を根拠づけ、倫理的に人…

クイウス・レギオ、エイウス・レリギオ

ローマ・カトリック教会の歴史作者: エドワードノーマン,百瀬文晃,Edward Norman,月森左知出版社/メーカー: 創元社発売日: 2007/12/01メディア: 単行本 クリック: 11回この商品を含むブログ (5件) を見るエドワード・ノーマン著『ローマ・カトリック教会の歴…

そのときには、あなたの祭壇に雄牛がささげられるでしょう 〜 ミゼレーレ

聖週間・受難週のために、いろいろと音楽を集めて、資料も準備していたのだが……ヨハン・セバスティアン・バッハはデフォだけど、他にも普段あまり聴かない華奢なフランス系あたりも──例えばフランソワ・クープランやマルカントワーヌ・シャルパンティエらの…

ペンデレツキ《ルカ受難曲》

Penderecki: St.Lukes Passionアーティスト:Penderecki発売日: 1990/09/10メディア: CDペンデレツキ:ルカ受難曲アーティスト:ヴィト発売日: 2004/01/01メディア: CD 聖週間・受難週ということで、ポーランドの作曲家クシシュトフ・ペンデレツキ(Krzysztof P…

福音的背理主義/Evangelical Irrationalism

アリスター・マクグラス(Alister McGrath、b.1953)の『ポスト・モダン世界のキリスト教 21世紀における福音の役割』より、宗教改革の思想とそこから導き出される神学者のスタンスについて論じている部分をメモしておきたい。マクグラスは北アイルランドの…

信頼

ヴォルフハルト・パンネンベルク(パネンベルク)による〈信頼〉についての考察もメモしておきたい。ただ、パンネンベルクは、とりたてて特別なことを言っているわけではない。ごくあたりまえのことを述べているように思える。しかしそれがとても新鮮に聞え…

愛による法 〜 ヴォルフハルト・パンネンベルク

ドイツの神学者(宗教哲学、組織神学)ヴォルフハルト・パンネンベルク(Wolfhart Pannenberg、b.1928 -)の『人間とは何か──神学の光で見た現代の人間学』より第八章「愛による法」についてメモしておきたい。 パンネンベルク(パネンベルク)は、現在はポ…

ヒトラー暗殺を企てた牧師、ディートリッヒ・ボンヘッファー

村上伸 著『ボンヘッファー』を読んだ。ドイツのルーテル派教会の牧師・神学者ディートリッヒ・ボンヘッファー(Dietrich Bonhoeffer、1906 - 1945)の生涯とその思想について書かれたものだ。「ボンヘッファーとは何者か」──このプロテスタント牧師の持つ三…

ハイドン 《十字架上のキリストの最後の7つの言葉》

Haydn: the Seven Last Wordsアーティスト: Joseph Haydn,Nikolaus Harnoncourt出版社/メーカー: Elatus発売日: 2003/11/10メディア: CD クリック: 10回この商品を含むブログ (1件) を見る没後200年のメモリアル・イヤーにあたる、ヨーゼフ・ハイドン(Josep…

"Save Me"

iChatGay Blog で紹介されていた、『Save Me』という映画が面白そうだ──何よりもまず「その図像」に目を惹いた。メモしておきたい。 [Save Me (2007) ] http://www.savememovie.com/Home.html http://www.imdb.com/title/tt0772200/ Save me Trailer 『Bosto…

ロビンソン主教、オバマの就任式で祈り

ゲイであることを公言している米国聖公会のジーン・ロビンソン主教/Rev. Gene Robinson が、バラク・オバマの大統領就任式イベントで祝福の祈りを捧げることが発表された。 Gay Bishop Giving Obama's "Pre-Show" Prayer Bishop Gene Robinson on Rachel Ma…