HODGE'S PARROT

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神学

「福音の受肉」と学問に対する「連帯責任」

北森嘉蔵の『神学入門』に附録された『神学短章』のいくつかの文章より、キリスト教信仰とキリスト教神学、および、一般信徒と神学者/宣教者の関係について、そこで教え説かれていることをまとめておきたい。内容は、以前『神学入門』について書いたこと(…

「ギリシャ語が下手だから、ユダヤ人が書いた?」

「福音書」解読 「復活」物語の言語学 (講談社選書メチエ)作者: 溝田悟士出版社/メーカー: 講談社発売日: 2013/10/11メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (4件) を見る溝田悟士の『「福音書」解読 「復活」物語の言語学』は聖書学に関する…

「むさぼりの心」 〜 ルターの罪悪感

小牧治、泉谷周三郎の『人と思想 ルター』より。マルティン・ルターの「使徒パウロの『ローマ人への手紙』についての講義」(ローマ書講義)で示される宗教改革的思想。そこには罪とその赦しにおける新たな認識が挙げられる──すなわち、それによってローマ・…

「労働大衆は、革命をあえて起こすためにみじめでなければならない」

1966年にオランダ司教団によって編纂されたキリスト教の教理指導書 De Nieuwe Katechismus/Dutch Catechism における、「救いへの非キリスト的な努力」としてのマルクス主義(および社会主義、ヒューマニズム)に対する視点──信念の相違について。 西洋のヒ…

トマスから修道士ヨアネスへ

ドミニコ会の若い修道士へ向けたトマス・アクィナスの学問の心得。Thomas Aquinas, Epistola exhortatoria de modo studendi / A Letter on the Method of Study 「キリストにおいてわが親愛なるヨアネスよ、あなたは知識の宝庫から何ものかを勝ち得るために…

「死せる犬」を否定する あるべき姿の神学を求めて

1959年に新教出版社より初版が刊行された、北森嘉蔵『神学入門』の復刻版を読んでいる。著者である北森嘉蔵はルーテル教会で受洗し、日本基督教団に所属──つまりプロテスタントの牧師である。彼は「神の痛みの神学」を提唱し、1946年に同名著書を発表してい…

なぜプロレタリアはインターナショナルになるか

「地政学を英国で学ぶ」でバラク・オバマ大統領の演説について「そのすごさ」が明快に指摘されていた。 どうすごいかというと、欧米で国際関係論を多少学んだ人ならおわかりのように、彼はリアリズムの議論(とくにニーバーの得意とする道徳論)を使って、人…

コンシャンス

増田祐志 編『カトリック神学への招き』の実践神学-倫理神学より、〈良心〉についてメモしておきたい。まずは〈良心〉なるものについて。 良心は、人格的存在としての人間の深奥に生得的に刻み込まれている。それは存在論的に人間存在を根拠づけ、倫理的に人…

クイウス・レギオ、エイウス・レリギオ

ローマ・カトリック教会の歴史作者: エドワードノーマン,百瀬文晃,Edward Norman,月森左知出版社/メーカー: 創元社発売日: 2007/12/01メディア: 単行本 クリック: 11回この商品を含むブログ (5件) を見るエドワード・ノーマン著『ローマ・カトリック教会の歴…

福音的背理主義/Evangelical Irrationalism

アリスター・マクグラス(Alister McGrath、b.1953)の『ポスト・モダン世界のキリスト教 21世紀における福音の役割』より、宗教改革の思想とそこから導き出される神学者のスタンスについて論じている部分をメモしておきたい。マクグラスは北アイルランドの…

信頼

ヴォルフハルト・パンネンベルク(パネンベルク)による〈信頼〉についての考察もメモしておきたい。ただ、パンネンベルクは、とりたてて特別なことを言っているわけではない。ごくあたりまえのことを述べているように思える。しかしそれがとても新鮮に聞え…

愛による法 〜 ヴォルフハルト・パンネンベルク

ドイツの神学者(宗教哲学、組織神学)ヴォルフハルト・パンネンベルク(Wolfhart Pannenberg、b.1928 -)の『人間とは何か──神学の光で見た現代の人間学』より第八章「愛による法」についてメモしておきたい。 パンネンベルク(パネンベルク)は、現在はポ…

ヒトラー暗殺を企てた牧師、ディートリッヒ・ボンヘッファー

村上伸 著『ボンヘッファー』を読んだ。ドイツのルーテル派教会の牧師・神学者ディートリッヒ・ボンヘッファー(Dietrich Bonhoeffer、1906 - 1945)の生涯とその思想について書かれたものだ。「ボンヘッファーとは何者か」──このプロテスタント牧師の持つ三…

天使──証言の遂行者

使徒的人間―カール・バルト作者: 富岡幸一郎出版社/メーカー: 講談社発売日: 1999/05メディア: 単行本 クリック: 3回この商品を含むブログ (6件) を見る富岡幸一郎 著『使徒的人間 カール・バルト』は、プロテスタント神学者カール・バルトの「思想」につい…

分割線なき選民 〜 パウロの身振り

バラク・オバマ次期米大統領の演説を読んで、その中に「ゲイもストレートも」というフレーズがあるにもかかわらず、個人的にどうもしっくりこない。それには僕がオバマよりもジョン・エドワーズやヒラリー・クリントンを支持だったってこともあるし、同日に…

マルクス主義とキリスト教徒の「収斂」

平行してフィリップ・ベリマン著『解放の神学とラテンアメリカ』を読んでいる。フィリップ・ベリマン(Phillip Berryman、b.1938)は1965年から1973年までパナマ市のスラム街で司祭を務めていた人物だ。その第9章では「マルクス主義の利用」と題され、マルク…